2006 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマの翻訳後修飾におけるユビキチン類似タンパク質(SUMO)の重要性
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18890188
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
案浦 健 順天堂大学, 医学部, 助手 (90407239)
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Keywords | Trypanosoma cruzi / SUMO(Small Ubiquitin-related Modifier) / 翻訳後修飾 / プロテオミクス / 発現制御の分子メカニズム |
Research Abstract |
寄生原虫は発育段階に応じて必要な分子を厳密にコントロールし、巧みに寄生を成立させるが、その発現制御メカニズムの多くは未だ解明されていない。ユビキチンやSUMOによる翻訳後修飾は、様々な標的タンパク質に結合し、その機能や発現量を変化させる修飾分子である。シャーガス病の病原体であるTrypanosoma cruziでは、ヒト細胞内型原虫においてユビキチン-プロテアソーム系による鞭毛(細胞骨格)タンパク質の分解が必須であると報告されているが、ユビキチンと拮抗的に作用するSUMOに関する報告は全くない。そこで本研究はT.cruziのSUMO修飾機構に着目し、発育段階などにおける制御機構への関与など、特異性を明らかにする事を目的として研究を行った。 今年度は1)タグを付加したSUMOを過剰発現するT.cruzi株の作製を行った。ゲノム情報より得られたSUMO遺伝子から特異プライマーを合成し、PCRによりタグを付加したFLAG-SUMO-MYCを増幅後、発現ベクターpTREXに挿入し、昆虫体内型原虫に導入した。選択薬剤であるネオマイシン添加培地で培養を行い、遺伝子導入株の選択を行った。ノザン法およびウエスタン法により、導入遺伝子の発現が確認された。今後抗タグ抗体を用いたアフィニティー精製などにより、SUMOと特異的に結合する標的タンパク質を網羅的に解析する予定である。2)抗T.cruzi SUMO抗体の作製を行った。1)と同様の方法でSUMO遺伝子をPCRによる増幅後、大腸菌用発現ベクターに組み込み、Hisタグを付加したSUMOタンパク質として発現させた。特異カラムを用いて組換え体SUMOを精製後、ウサギに免疫し、抗SUMO血清を回収した。今後はアフィニティーカラム等を用いた精製を行い、より感度の高い抗体を調整し、T.cruziの発育段階における違いなどを検討する予定である。
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