2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890204
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小川 明子 日本大学, 歯学部, 助手 (10434078)
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Keywords | 三叉神経 / 神経因性疼痛 / アストログリア / pERK / グルタミン酸 / Fruoroacetate / Methionine sulfoximine |
Research Abstract |
三叉神経切断処理を施したラットの三叉神経脊髄路核尾側亜核(延髄後角:MDH)に、アストログリアに対する特異的TCA回路阻害薬(FA)あるいはグルタミン酸・グルタメイト経路阻害薬(MSO)を硬膜下投与し、MDHニューロン活動への影響を調べ、アストログリヤが三叉神経系の慢性疼痛発症に対し、いかなる神経メカニズムで関与するかを解明した。その結果、FAあるいはMSOを硬膜下投与しても、IAN切断後にMDHニューロンに惹き起こされる異常自発発火、後発射また受容野の大きさに有意な変化は認められなかった。しかし、機械刺激、熱刺激、冷刺激により誘発されるMDHニューロン活動は、全ての刺激に対して侵害刺激レベルで有意に抑制された。また、薬物投与後、生理食塩水にてFAあるいはMSOをWash outすることにより、FAあるいはMSOの抑制効果はわずかに抑えられた。また、これらの効果は、グルタミン酸をMDHに硬膜下投与しても、改善されなかった。 また、同モデルラットの顔面皮膚に侵害刺激を与えることにより、MDHの表層にリン酸化ERK(pERK)陽性細胞が多数認められた。また、このpERK陽性細胞は硬膜下にFAを3日間持続投与することにより、有意に減少した。 以上の結果から、アストログリアより放出されるグルタミン酸が、三叉神経系に発症する神経因性疼痛に関与している可能性が示された。また、この可能性を確証するため、現在、IAN切断モデルラットの延髄硬膜下にFAまたはMSOを3日間持続投与し、顔面の侵害機械刺激に対する逃避反応行動の変化を検索している。さらに、FAまたはMSOによるMDHニューロン活動の抑制に対するグルタミンの効果を確認するため、グルタミン酸濃度を変えてMDHに硬膜下投与することを計画している。
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