2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18890204
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小川 明子 Nihon University, 歯学部, 講師 (10434078)
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Keywords | 三叉神経 / 神経因性落痛 / アストログリア / pERK / グルタミン酸 / Fruoroacetate / Methionine sulfoximine |
Research Abstract |
三叉神経切断処理を施したラットの三叉神経脊髄路核尾側亜核(延髄後角:MDH)に、アストログリアに対する特異的TCA回路阻害薬(FA)を硬膜下投与し、MDHニューロン活動への影響を調べ、アストログリヤが三叉神経系の慢性疼痛発症に対し、いかなる神経メカニズムで関与するかを解明した。三叉神経第三枝(IAN)切断1週間後に、三叉神経第二枝領域の顔面皮膚感覚閾値の低下を示すIAN切断モデルを作成した。同モデルラットの延髄にFAを局所投与することにより、第二枝領域の機械刺激と温度刺激により誘発されるMDHニューロン活動は、両刺激に対して侵害刺激レベルで有意に抑制されたが、非侵害刺激レベルでは有意な抑制は見られなかった。次にグルタミンを延髄に局所投与することにより、FAのMDHニューロン抑制効果は抑えられ神経活動の回復が認められた。また、同モデルラットの顔面皮膚に侵害刺激を与えることにより、MDHの表層にリン酸化ERK(pERK)陽性細胞が多数認められたが、非侵害刺激では認められなかった。また、このpERK陽性細胞は硬膜下にFAを1週間持続投与することにより有意に減少した。さらに、IAN切断モデルラット顔面への侵害機械刺激により誘発される逃避反応行動は、延髄硬膜下にFAを投与することにより抑えられた。 以上の結果から、アストログリアより放出されるグルタミンが、三叉神経系に発症する神経因性疹痛、特に痛覚過敏に関与している可能性が示された。これは、三叉神経系由来の神経因性疼痛発症における中枢神経機構の新たな解明であり、グリア細胞の活性化誘導分子を標的にした薬剤を検索することにより、三叉神経系に発症する神経因性疼痛の有効な治療薬の開発につながる可能性があると考えられた。
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