2006 Fiscal Year Annual Research Report
要支援・要介護者に対する口腔擦過細胞診を用いた口腔ケアアセスメント法の確立
Project/Area Number |
18890207
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠藤 眞美 日本大学, 松戸歯学部・助手(専任級) (70419761)
|
Keywords | 口腔擦過細胞診 / 口腔ケア / アセスメント / 口腔乾燥 / 要支援者 / 要介護者 |
Research Abstract |
要支援・要介護者の口蓋,舌,歯肉ないし同部位に相当する歯槽粘膜および頬粘膜の4部位における擦過細胞診により口腔粘膜の状態の把握を行った. 1.某精神科入院患者 30名を対象に口腔内診査および擦過細胞診検査を行った.口腔乾燥症に関しては肉眼的診断や症状による診断に加え自覚症状に関するアンケート調査を実施した. 擦過細胞診結果は,全症例および全部位がClassIIであった.口腔清掃状態の不良な症例では,多数の細菌群と炎症性細胞を背景に,異型所見を呈する表層型および中層型細胞を認めた.Candida.spが23症例に観察され,そのうち9症例では4部位全てにみられた.23症例が口腔乾燥感を自覚しており,自覚してない症例に比較して水分計測定値も低かった.自覚している症例群では細胞の核は膨化し,エオジンおよびオレンジGに細胞質が染まる表層型細胞を集合性に観察した.また,同様な細胞像を示す口腔乾燥を自覚していない症例でも臨床的に口腔乾燥を認める所見があり,実際の粘膜は乾燥していると推察された.症例の多くは薬物服用数が6剤以上で,これらの副作用として口腔乾燥症が多かった.口腔乾燥を自覚していない喫煙者9症例(一日平均喫煙数は17本)でも,同様な細胞変化が観察された.タバコに含まれるタールやニコチンなどの化学的刺激とともに煙が直接粘膜に作用して物理的刺激となり口腔乾燥状態に関係していると考えられた. 多くの表層型上皮細胞塊の剥離や食物残渣(9症例)を認め,唾液の減少だけでなく,口腔周囲筋の機能低下が細胞の代謝に対して影響を及ぼしている可能性が推察された. 以上より,擦過細胞診の実施は精神疾患患者の口腔粘膜の状態を客観的に細胞学レベルで把握でき,専門的口腔ケアプランの立案に有効であることがわかった. 2.介護老人福祉施設入所の高齢者 77名の要介護高齢者に対して,1と同様の検索方法で追求を行っている.
|