2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト骨芽細胞における活性型ビタミンDのI型コラーゲン合成促進機構の解析
Project/Area Number |
18890213
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
前畑 洋次郎 Kanagawa Dental College, 歯学部, 助教 (80410009)
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Keywords | コラーゲン / 細胞・組織 / 薬理学 |
Research Abstract |
本年度は、平成18年度の研究で得られた成果に基づき、ヒト骨芽細胞における活性持続型ビタミンC(Asc-2P)のIII型コラーゲン合成促進機構の解明とその意義の検討を行った。 III型コラーゲンは、胎生結合組織と血管壁にその含有量が多いことが明らかにされている。一方、骨や象牙質などの組織では多量のI型コラーゲンとわずかなIII型コラーゲンが共存しており、その意義は解明されていない。そこで、本研究では骨および象牙質などの硬組織におけるIII型コラーゲン存在の意義を解明するためにMG-63細胞、ヒト骨芽細胞、およびヒト骨髄由来未分化幹細胞を用いて実験を行い、Asc2-Pは細胞増殖、およびIII型コラーゲン合成を促進すること、またIII型コラーゲン被覆培養皿上では細胞増殖活性が促進することが示された。さらに、siRNAを用いてIII型コラーゲンα鎖遺伝子であるCOL3A1の発現を阻害したところ、COL3A1の発現抑制レベルに比例して細胞増殖活性は低下した。これらの研究結果から、III型コラーゲンはヒト骨芽細胞およびヒト骨髄由来未分化幹細胞において、細胞増殖を促進するコラーゲン分子種であることが明らかになった。(Maehata Y., et. al.Matrix Biology.2007) 本研究結果は、骨折治癒の初期過程や頭蓋骨縫合部に拡大矯正力を加えた際に、III型コラーゲン合成が促進するといった臨床的知見を分子レベルで説明できる結果であり、また骨基質にわずかに存在するIII型コラーゲンは骨形成時、および再生時の骨芽細胞増殖に必須であると考えられていることから、近年社会問題になりつつある骨粗鬆症治療薬としての可能性が示された。またAsc2-Pは歯科領域においても歯肉繊維芽細胞、骨芽細胞など歯周組織を構成する細胞の増殖を促進することが明らかにされており、歯周組織再生医療に新たな基礎的知見を与える研究成果であると考えられる。
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Research Products
(1 results)