2006 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞によるトランスサイトーシスを介したグルタミン酸分泌の制御機構と意義の解明
Project/Area Number |
18890214
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (90434480)
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Keywords | VGLUT1 / 破骨細胞 / トランスサイトーシス / 骨吸収 / 骨粗鬆症 / グルタミン酸シグナル / PKA / TRACP5b |
Research Abstract |
神経において、L-グルタミン酸(L-Glu)分泌に必須のタンパク質である小胞型グルタミン酸輸送体(Vesicular glutamate transporter ; VGLUT)は、L-Glu分泌細胞を同定するための良い指標となる。私は、(1)VGLUT1が破骨細胞のトランスサイトーシス小胞に発現していること(2)脱分極刺激によりL-Gluと骨分解産物がカルシウム及びcAMP依存的に共分泌されること(3)L-Gluが破骨細胞に発現しているグルタミン酸受容体を介して細胞内cAMPを減少させることでトランスサイトーシスを抑制すること、を見出していた。 これらの知見の上に、(1)L-Glu分泌を指標としたトランスサイトーシスの分子機構の解明、(2)骨組織でのin vivoにおけるL-Gluシグナルの意義の解明、という二つの計画を立案し、平成18年度の科学研究費補助金により以下の知見を得た。 (1)破骨細胞からの脱分極刺激によるL-Glu分泌はcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)阻害剤ではほとんど阻害されなかった。このことは、破骨細胞からのL-Glu分泌が、PKA非依存的な経路により起こることを示唆している。PKCの関与、及びSNARE複合体の関与については現在検討中である。 (2)VGLUT1遺伝子欠損(KO)マウスの大腿骨骨量は、野生型マウスと比較して、8週齢で30〜40%程度、4ヶ月齢で50〜60%程度低下し、また、骨吸収マーカーである血清中TRACP5b量は増加していた。L-Gluが骨組織において、骨吸収を抑制する因子であることが示唆された。VGLUT1 KOマウスの骨形態計測は現在進行中である。VGLUT1 KOマウスの繁殖に予想以上に時間がかかったため、卵巣摘出条件及び炎症性骨吸収誘導条件下でのL-Gluシグナルの意義の検討については次年度に行うことにする。
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