2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病新規治療戦略を指向したミクログリア機能制御の研究
Project/Area Number |
18890218
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高田 和幸 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10434664)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / ミクログリア / 移植 / 貪食 / MRI / サイトカイン / ラット |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳における病理学的特徴は、細胞外アミロイドタンパク質(Aβ)が線維状に異常蓄積することにより形成される老人斑の出現、異常にリン酸化されたタウタンパク質が神経細胞内に蓄積した神経原線維変化の形成および神経細胞死である。現在では、脳内での異常なAβ蓄積が神経原線維変化を含む神経障害を引き起こすというアミロイド仮説がAD発症メカニズムの有力な候補として考えられている。一方、脳内免疫担当細胞であるミクロダリアは老人斑に集積しAβ分解に寄与している可能性が示唆されているが、その詳細は不明である。本研究ではアルツハイマー病新規治療法の開発を目指し、ミクログリア移植のin vivo脳におけるAβ分解に対する効果を解析した。あらかじめ海馬にAβを投与したラットに、MRIを用いた追跡のために鉄粒子を標識した培養ラットミクログリアを脳室内に移植した。その結果、移植した外来性ミクロダリアは、移植8日目において移植した脳室からAβを投与した海馬に移動していることがMRIを用いた解析により示唆された。翌日脳をサンプリングし、組織学的に解析したところ、鉄粒子を含有したミクログリアがAβ投与部位に集積していることが確認できた。さらに、ミクロダリアを移植すると非移植群に比ベラット脳内でのAβ分解が有意に促進されること、それと同期してミクロダリアの活性化指標として測定したサイトカインの脳内発現量が有意に上昇することを見出した。以上より、ミクロダリアがin vivo脳においてAβ分解に機能すること、その移植やミクロダリアの機能制御をターゲットとした創薬が、新規アルツハイマー病治療の開発において大きく貢献できる可能性が示唆された。
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