2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病新規治療戦略を指向したミクログリア機能制御の研究
Project/Area Number |
18890218
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高田 和幸 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 助教 (10434664)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / ミクログリア / 貪食 / 免疫療法 / 糖鎖 / サイトカイン / 抗アミロイドβ抗体 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳における病理学的特徴は、細胞外アミロイドタンパク質(Aβ)が線維状に異常蓄積することにより形成される老人斑の出現、異常にリン酸化されたタウタンパク質が神経細胞内に蓄積した神経原線維変化の形成および神経細胞死である。現在では、脳内での異常なAβ蓄積が神経原線維変化を含む神経障害を引き起こすというアミロイド仮説がAD発症メカニズムの有力な候補として考えられている。一方、脳内免疫担当細胞であるミクログリアは老人斑に集積しAβ分解に寄与している可能性が示唆されているが、その詳細は不明である。本研究ではアルツハイマー病新規治療法の開発を目指し、昨年度はミクログリアがin vivo脳においてAβ分解に機能すること、さらにその移植が脳内のAβ分解に有効であることを示した。19年度はラット新生仔より調製した初代培養ミクログリアを用い、抗Aβ抗体がミクログリアのAβ食食機能を促進することを明らかとした。また、処置した抗体もAβと同時にミクログリアに取り込まれることから、ミクログリアのFcレセプターを介した抗Aβ抗体-Aβ複合体の取り込み経路がその促進に関与することが示唆された。さらに、抗体の促進作用には抗体に付随する糖鎖が重要であり、その糖鎖を酵素処理により除去するとミクログリアのAβ食食促進作用やサイトカインの産生促進作用が減少することが示唆された。このように、ミクログリアの移植や機能制御をターゲットとした創薬が、新規アルツハイマー病治療の開発において大きく貢献できる可能性が示唆された。
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