2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病治療薬の新規神経保護作用機序に関する研究
Project/Area Number |
18890220
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
高鳥 悠記 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (90411090)
|
Keywords | 薬理学 / 神経科学 / 細胞・組織 / 脳・神経 / 認知症 / ニコチン受容体 / アルツハイマー / 神経保護 |
Research Abstract |
現在、アルツハイマー病治療薬として用いられているドネペジルをはじめとするアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬の治療効果には、AChE阻害活性に加えて複数の異なる機序が関与する可能性が指摘されてきている。このことを踏まえ、本研究課題では、これらアルツハイマー病治療薬のAChE阻害活性以外の新たな作用点の探索と作用機序の解明を目的とした。本研究では、アルツハイマー病治療薬の慢性処置による、i)nAChRアップレギュレーションの機序、ii)アルツハイマー病治療薬に対する感受性上昇の機序、を明らかにすることを計画し、慢性処置による感受性上昇の機序を明らかにするために、下記(1)から(3)の研究を実施した。 中枢性AChE阻害薬長時間慢性処置による感受性上昇機序の解析 (1)中枢性AChE阻害薬長時間処置条件の検討 感受性上昇をもたらす長時間慢性処置条件を調べるため、慢性処置時間(1-4days)および濃度(1nM-10μM)を変化させて保護作用の処置時間依存性および濃度依存性を検討した。 (2)感受性上昇機序の解明 感受性上昇に関与する細胞内情報伝達経路を解析する。慢性処置と同時にAChR拮抗薬やPI3K阻害薬を処置して、nAChRのアップレギュレーションや中枢性AChE阻害薬の保護作用に与える影響を検討した。 (3)感受性上昇による細胞機能の変化の解析 感受性上昇による細胞の機能面での変化を、ニコチン受容体タンパクの発現変化に加え、細胞内遊離カルシウムイオン濃度の変化も指標にした解析により検討した。 以上により、中枢性AChE阻害薬に対する感受性が上昇する処置条件を明らかにし、さらに、感受性上昇のメカニズムを明らかにすることができた。
|