2007 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢患者に対する薬剤処方の実態および安全性の向上に関する研究
Project/Area Number |
18890239
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
庭田 聖子 National Institute of Public Health, 疫学部, 協力研究員 (70435709)
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Keywords | 高齢者 / 医薬品安全性 / 医薬品適正使用 / 在宅医療 |
Research Abstract |
本研究は、わが国の在宅高齢患者に対する薬剤処方の実態を把握し、より有効性と安全性の高い薬物治療を推進することを目的とする。前年度は、欧米で広く用いられているBeers criteria(65歳以上の高齢者に対して、有効性と安全性の観点から避けることが望ましい薬剤処方を定義した基準)を基に、わが国の実情に見合った基準を作成するための作業を行った。本年度は、この「高齢者に対して避けることが望ましい薬剤処方」(potentially inappropriate medications、以下PIMとする)に該当する薬剤が、わが国の在宅高齢患者にどのように使用されているか把握するために調査を行った。 対象は東京都による薬局情報システム「t-薬局いんふぉ」において、検索条件「医療を受ける者の居住等において行う調剤業務(を実施できる)」に該当する保険調剤薬局のうち、無作為に抽出された300薬局とした。調査方法は郵送により(1)対象薬局における「在宅患者訪問薬剤管理指導」「介護予防居宅療養管理指導」「居宅療養管理指導」の実施状況(2)対象薬局において上記業務を実施している患者について、患者背景、疾患、および現在服用している薬剤を記入する調査票を送付し、郵送で回収した。これに基づいてデータベースを作成し、解析作業を行った。 調査票を送付した300薬局のうち130(回収率43.3%)の薬局から回答があり、うち29薬局から87名の患者について回答を得た。この87名のうち、45名(51.7%)の患者にPIMが使用され、このprevalenceは諸外国の報告に比べて若干高値であった。その中で最も多く使われていた薬剤はファモチジンであった。 本研究ではわが国の在宅高齢患者におけるPIMの実態を初めて明らかにすることができた。今後は調査対象の拡大、回収率の向上などについて検討する必要があると考えられた。
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