2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア型MSを惹起するインターロイキン17産生性T細胞分化の研究
Project/Area Number |
18890242
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
荒浪 利昌 国立精神・神経センター, 神経研究所免疫研究部, 室長 (60435724)
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Keywords | 多発性硬化症 / T細胞分化 / インターロイキン17 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
多発性硬化症(MS)は、自己免疫性脱髄性疾患である。動物実験においては,病原性T細胞としてのインターロイキン(IL-)17産生性T細胞(Th17細胞)、が近年確立されつつある。また、視神経脊髄型(アジア型)MSで、髄液中のIL-17濃度上昇が報告され,MSにおいても、同様の可能性が示唆されている。本研究において,我々はヒトTh17細胞分化機構の解析を行っている。ヒトTh17細胞の機能,分子生物学的解析にあたって,長期培養細胞ではなく,ヒト末梢血からTh17細胞が分離可能となれば,生体内での機能を反映するデータを得ることが出来,非常に有用であると考えられる。そこで我々は,末梢血中のTh17細胞分離を試みた。 T細胞が病巣へ浸潤するには、ケモカインによる病巣への誘導が必須である。活性化T細胞は,サイトカイン産生能の獲得と同時に、特異的なケモカインレセプター発現を獲得することが知られている。Th17細胞のケモカイン反応性は不明であったが,我々は,IL-17産生細胞とケモカインレセプター発現細胞の関係を解析し,CD4陽性メモリーT細胞分画のケモカインレセプターCCR2陽性CCR5陰性細胞が、大量のIL-17を産生する一方,IFN-γは殆ど産生しないことを見出した(J. Immunol. in press)。更にこの分画は,Th17細胞にとって最も重要なサイトカインであるIL-23に対するレセプター発現率が、CD4陽性T細胞中最も高い一群であることが判明した。以上の様な特徴から,この分画はヒトTh17細胞であると考えられる。この結果は,Th17細胞の病巣への浸潤機構の解明のみならず、ヒトTh17細胞の分子生物学的解析にも貢献するものと考えられる。
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Research Products
(5 results)