2019 Fiscal Year Annual Research Report
可視光で駆動する水分解用ヘテロ構造Cu2O/Au/WO3光触媒の創製
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18F18031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺西 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (50262598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU MING-HAN 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 金属酸化物 / ヘテロ構造 / 水分解 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、ナローバンドギャップをもつ光触媒が開発されており、ドープ金属酸化物(TiO2:Rh、約600nmに吸収端)、ペロブスカイト型ドープ金属酸化物(SrTiO3:Rh(0.5%)、約500nmに吸収端)、固溶体光触媒(GaN:ZnO、約550nmに吸収端)などがある。これらの光触媒の欠点は、(1)可視光の一部しか吸収しないこと、(2)ドーパントが光触媒中で電子-正孔再結合中心となり、エネルギー変換効率が低下すること、(3)ペロブスカイト金属酸化物および固溶体光触媒の合成に多くのエネルギーを消費することである。本研究では、光触媒としてCu2OおよびWO3半導体を用い、助触媒ナノ粒子および電子移動媒体を組み込んだ可視光応答Zスキーム光触媒システムを構築することを目的とする。 本年度は、昨年度選択合成に成功した立方体、切頂八面体、菱面十二面体Cu2Oナノ粒子のうち、切頂八面体Cu2Oナノ粒子のS2-による陰イオン交換を行い中空状CuxSナノ粒子を合成後、さらにIn3+による陽イオン交換を行い、Cu2Oナノ粒子よりモル吸光係数が大きくより長波長領域まで吸収のある中空状CuInS2ナノ粒子の合成を行なった。一連のイオン交換反応により、中空状CuInS2ナノ粒子の合成に成功し、バンドギャップが1.4 eVであることが分かった。さらに、中空状CuInS2ナノ粒子に0.1 wt%Ptを助触媒として担持することで、可視光照射下での水素生成を確認した。今後は、酸素生成光触媒ナノ粒子とのヘテロ接合に取り組む必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
切頂八面体Cu2Oナノ粒子のS2-による陰イオン交換、In3+による陽イオン交換を連続して行うことで、Cu2Oナノ粒子よりモル吸光係数が大きくより長波長領域まで吸収のある中空状CuInS2ナノ粒子の合成に成功した。また、中空状CuInS2ナノ粒子に0.1 wt%Ptを助触媒として担持することで、可視光照射下で水素生成能を有することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Cu2O-WO3ヘテロ構造をもつZ-スキーム光触媒の触媒活性を向上させるため、水素および酸素生成助触媒の合成・担持について検討する。水素および酸素生成助触媒に関しては本研究室で精力的に研究しており、これまでの研究成果に基づき、水素生成助触媒としてRh-MOx(M: Cr, Zr, V, Mo, W, Nb, Ta)複合ナノ粒子を、酸素生成助触媒としてCoナノ粒子やFeNiリン化物ナノ粒子を用いる。助触媒の光触媒への担持は、含浸法や架橋配位子の利用により行う。合成したナノ粒子ならびに光触媒の構造解析、光学特性、触媒特性評価は2019年度と同様に行う。
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