2018 Fiscal Year Annual Research Report
イソシアニド基配位子を用いた伝導性配位高分子の構築
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18F18034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 正規 東京工業大学, 理学院, 教授 (30247217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
USOV PAVEL 東京工業大学, 理学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 電導度 / 構造解析 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
一連の多座イソシアニド含有リンカーを確立された文献の方法論を用いて以下の配位子を合成した:1,4-ジイソシアノベンゼン)、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアノベンゼン、2-ニトロ-1,4-ジイソシアノベンゼンおよび9,10-ジイソシアノアントラセン。さらに結晶材料を得る目的で、様々な条件下で異なる金属前駆体と反応させた。新規な気相合成手順を用いて、揮発性Cr(ビス - ベンゼン)前駆体からCr(0)系配位骨格の合成を試みた。これらの実験から、反応容器の壁に非晶質Cr-イソシアニド薄膜の堆積が起こることがわかった。これらの膜は、SiおよびSiO2などの様々な基板上にうまく堆積させることができた。 紫外可視吸収分光法および電気化学による分析により、フィルム内部の[Cr(0)(イソシアニド)6]構造モチーフの存在を証明した。さらに、Mo(0)ネットワークは、異なるイソシアニド配位子を有する[Mo2(OAc)4]前駆体の固相粉砕法により合成した。条件を最適化した後、一連の同構造の結晶材料を得た。これらのネットワーク錯体のXRPDはSPring-8で測定され、構造解析・精密化を行う予定である。 最後に、Mn(II)ベースの配位フレームワークを二段階に分けて合成に成功した。 第一段階で、MnI2とイソシアニド配位子を一緒に粉砕して中間相を得た。 次に、過剰のイソシアニド蒸気の存在下でこの相を真空下で加熱すると結晶性物質が得られた。 その初期構造を実験室の粉末データにより決定し、二次元層を形成するイソシアニドリンカーによって連結された一次元 の [Mn(II)I2] 鎖からなることを明らかにした。 この骨格には空隙がないが、電子伝導経路となりうる一次元π積層のイソシアニドリンカーのカラム構造を有している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体として、イソシアニドベースの配位フレームワークの合成に向けて著しい進歩が見られた。 合成した骨格の初期キャラクタリゼーションと予備的構造解析を行った。 次のステップでは、導電率測定を行い、これらの材料が抵抗センサデバイスとして機能する能力を評価する予定である。 この研究の初期の成果は、ニュージーランドのオークランドで開催された第6回金属 - 有機骨格およびオープン骨格化合物に関する国際会議(MOF 2018)(2018年12月)で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度でMnI2を用いて固相合成法によりイソシアニド基により架橋されたネットワーク錯体が狙い通り合成することができた。結晶性粉末として得られたので予備実験を実験室系の粉末回折装置で行い未知構造解析を行ったところ、2次元シート状ネットワーク構造であることを確認した。31年度は放射光を用いて本測定を行い投稿レベルのデータを収集し解析を行う。また、得られた構造の特性を、熱重量分析、ガス収着、UV-Vis-NIR分光法、サイクリックボルタンメトリー、最も重要な導電率測定のような幅広い技術により分析する。これらの材料の特性は、有機リンカーの官能基化によってさらに多様化することができる。特に、化学センサは、ゲスト分子と導電性骨格との相互作用に依存する。このような相互作用は、H-結合供与体および受容体、延長されたπ系または酸化還元活性種のような適切な官能基で有機配位子を修飾することによって増加させることができる。さらに、配位子や金属の欠陥は、配位不飽和金属を生成する合成における金属/配位子比を増加させることによって導入することができる。最良の性能を有するフレームワークを特定し、CVD技術を用いて様々な基板上へのそれらの薄膜化を検討する。得られたデバイスは、膜抵抗率の変化によって異なるガス分子を検出する能力について検討する。また、放射光施設でGIWAXや粉末X線回折装置を用いて薄膜の構造解析を検討する。
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Research Products
(1 results)