2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis of elastic wave control in phononic structures and acoustic metamaterials
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18F18043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
琵琶 志朗 京都大学, 工学研究科, 教授 (90273466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI PENG 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-07-25 – 2020-03-31
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Keywords | 弾性波 / フォノニック結晶 / メタマテリアル / ガイド波 / SH0波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、材料特性・形状の周期的分布を有するフォノニック構造や、これに共振部材を組み込んだ音響メタマテリアルにおける弾性波伝搬挙動を解析し、弾性波伝搬挙動を制御する機能構造の実現に向けた基礎的知見を得ること、特に、薄板やはりなどの部材が有する導波効果と周期性・共振による遮断効果の組み合わせにより発現する特徴的な弾性波伝搬挙動を明らかにすることを目的としている。本年度の研究では、弾性薄板上に配置した多数の突起部の高さを傾斜的に分布させることにより、薄板を伝搬するガイド波を特定の位置に集束させる機能構造に関する理論解析を行った。本解析では、薄板面内に振動方向を有する横波型ガイド波の最低次モード(SH0波)を対象とした。均一厚さの薄板を伝搬するSH0波は非分散性で、面外方向の振動成分がないという特徴を持つガイド波として知られている。本研究ではまず、薄板上に円筒形突起部が六方格子状に周期配列した構造を仮定して、ブロッホの定理に基づく三次元有限要素解析により弾性波のバンド構造を解析し、面内せん断が支配的でほぼSH0波と見なせるガイド波の分散関係と突起部高さとの関係を明らかにした。つぎに、求められた分散関係から、伝搬速度と突起部高さの関係に着目し、SH0波を特定の位置に集束させるレンズ(Luneburgレンズ、Maxwell魚眼レンズ)を構成するための突起部高さ分布を求めた。この突起部高さ分布を有する薄板に対して、有限要素法によりSH0波の伝搬シミュレーションを行い、意図した通りの集束特性が得られることを確認した。また、バンドギャップと突起部高さの関係に着目し、SH0波を周波数に応じて異なる位置で遮断するフィルタ機能を実現するための突起部高さ分布を求めた。これについても、有限要素法による数値シミュレーションによりSH0波に対するローパスフィルタ機能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した本年度の研究実施計画では、薄板表面に配置した多数の突起部によりガイド波を特定の位置に集束させる機能構造に関する解析を行うことを目的としていたが、研究実績の概要に記載した通り、本年度はSH0波を対象としてこれを実現する突起部高さの傾斜分布を求め、数値シミュレーションにより集束挙動を確認することができた。さらに、SH0波に対してローパスフィルタとして作用する突起部高さの傾斜分布を求め、数値シミュレーションによる確認を行うこともできた。以上の状況を踏まえて、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に行った多数の突起部によるガイド波の制御に関する研究をさらに進め、得られた成果をシンポジウム等で発表すべく取りまとめを行う。さらに、薄板またははりの表面に多数のスプリング部材を配置することにより、ガイド波を特定の位置で遮断または閉じ込める機能構造の解析を行う。
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