2018 Fiscal Year Annual Research Report
3D nanostructured multiple plasmon electrodes for non-toxic perovskite solar cells and for x-ray detection
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18F18069
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
宮坂 力 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 特任教授 【東京大学先端科学技術研究センター・フェロー】 (00350687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM GYU MIN 桐蔭横浜大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-07-25 – 2020-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 表面プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
鉛ハライド型ペロブスカイトの鉛を置き換える金属として、Ge、および、BiとAgの混合系を使用した。Geについては鉛含有量を削減したペロブスカイト材料を合成しGeの添加効果と結晶格子中の存在位置を解析した。Geの混合は添加量を増やすと光物性を悪化させる影響を確認したが、少量の添加においては逆に光物性を良化し、結晶の安定化をもたらす傾向が見出された。また、BiとAgの混合系については鉛を含まないペロブスカイト材料を溶液結晶成長法によって合成し、光物性と光電変換特性の計測をもとに光電変換半導体として最も安定に機能する組成を見出した。後者のBi, Ag混合系について合成法と物性評価の結果を論文2件にまとめて出版した。BiとAgの混合ペロブスカイトは光電変換効率が鉛系に比べて低いが、期待どおりに鉛系に対して高い保存安定性と耐水安定性が確認できた。また、海外(ロシア)との共同研究も開始し、Bi系のダブルペロブスカイト材料を合成して、その光物性を蛍光測定と電子寿命測定等によって解析し、物性を高めるための今後の分子設計の方向付けについて議論を進めることができた。 当初の計画以上の成果として、Ge系ペロブスカイトではGeの微量の混合によって鉛系の光電変換特性を上回る予想外の良い成果が見出された。したがってGeドープの方法は高効率化の目的でこれを活用して、別途に研究展開を図ることとした。また、表面プラズモンに関する実験では、ペロブスカイトの薄膜サンプルの作製法を検討し、表面プラズモン共鳴効果による光吸収の増強効果を調べるのに適した厚さが100nm以下の平坦な薄膜サンプルを得るための溶液製膜法を、溶媒蒸気アニーリング法などを併用して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
鉛を置き換える金属として、GeそしてBiとAgの混合系を使用し、Geについては鉛ペロブスカイトへGeを添加することで鉛含有量を削減したペロブスカイト材料、BiとAgの混合系については鉛を含まないペロブスカイト材料を溶液結晶成長法によって合成し、後者の合成法と物性評価について論文2件を出版した。 これら新材料の光電変換の特性を調べた結果、Geを微量添加した鉛ペロブスカイトにおいては鉛100%の系の高効率光電変換特性を上回る予想外の良い成果(性能・耐久性)が見出されたため、このGeドープ法は高効率化の目的で活用して研究を展開し、進行中である。一方、BiとAgの混合系では光電変換効率が鉛系の1/10以下に低下したが、期待どおりに鉛100%系に対しては高い安定性が確認できた。 表面プラズモン共鳴効果による光吸収の増強効果を調べるために必要なペロブスカイトの薄膜として、厚さが100 nm以下の均一で平坦な薄膜サンプルを得るための溶液製膜法を溶媒蒸気アニーリング法などを併用して検討した結果、結晶形成に用いる有機溶媒種を変えることが膜質を均一化し高める効果をもつことを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Ge、B、Ag等によって鉛を置換もしくは鉛含有量を大きく削減したペロブスカイト材料について、その多結晶薄膜の質(粒子径分布、緻密性、モルホロジー)が光物性(蛍光寿命等)ならびに光電変換特性に与える影響を調べ、光物性と保存安定性の点で最適な組成を決定する。決定した鉛置換ペロブスカイト材料について、光電変換効率を高めるために有効な有機系の正孔輸送材料を決定する。 吸収の弱い薄膜サンプルについて銀などの金属ナノ材料の表面プラズモン共鳴効果にもとづく光吸収の増強の可能性を調べ、集光能力を高めて分光感度と光電流出力の増加につなげるセルの構成を検討する。
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