2018 Fiscal Year Annual Research Report
皮内の制御性T細胞による皮膚免疫応答制御機構の解明
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18F18096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椛島 健治 京都大学, 医学研究科, 教授 (00362484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOW ZACHARY 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | Regulatory T cell / Skin inflammation / Contact hypersensitivity / Dermal dendritic cell / 三次リンパ組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、制御性T細胞(Treg)がどのように皮膚の炎症を調節するかを詳しく理解することである。私の提案した計画は、接触過敏反応の様々な段階でTreg上の重要な分子の発現を同定すること(目的1)、それらの分子を操作して、皮膚Tregの抑制能力に対する重要性を調べること(目的2)、さらにin vivoイメージングを用いて、誘導性皮膚関連リンパ組織(iSALT)におけるTregと真皮樹状細胞(DC)の相互作用を調べること(目的3)である。 本年度、私はTregの皮内浸潤がピークになる接触過敏反応の主要な段階がいつか、また、Foxp3 / DTR-GFPトランスジェニックマウスを用いてこの段階でTreg特異的に除去した場合の影響を調べた。これは目的2に関連した研究であり、目的2は接触過敏反応におけるTregの炎症制御能力に関与する重要な分子を明らかにしようとするものである。私はまた、in vivoイメージング(二光子顕微鏡)と免疫組織化学染色(目的3)の両方を用いて、iSALTにおける皮膚Tregと樹状細胞間の相互作用を特徴付けることを試みた。しかし、実験システムの制限のために、iSALTにおける皮膚Tregの役割を正確に同定することについて、本年度は達成できていない。このプロジェクトを完遂するために、「将来の作業の計画」のセクションで述べたように、追加のトランスジェニックマウスを作成した。これらの新しいツールは、私が提案した計画で述べた目的を達成するのに役立つものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、制御性T細胞(Treg)を観察するためにすでにラボ内で利用可能であったFoxp3 / DTR-GFPトランスジェニックマウスを用いる予定であった。しかし本マウスはフローサイトメトリーによるTregの同定こそ可能であったものの、二光子顕微鏡によるin vivoイメージング、および免疫組織化学染色での検出に用いるはシグナルが暗く、使用が難しいものであった。これにより、接触過敏反応におけるTregに対する遊走性分子の阻害の効果の観察実験(目的2)は遅延している。さらに、Tregを生体内でまだクリアには視覚化できていないことから、接触過敏反応におけるそれらの存在および誘発性皮膚関連リンパ組織(iSALT)における役割の解明の進捗もやや遅れている(目的3)。これを解決するために、現在他のTregトランスジェニックマウス(Foxp3-Cre / YFP; Foxp3-RFP×CD11c-YFP)の作成を進めている。これらのマウスは蛍光がより明るく、in vivoイメージングにも適するもと考えている。これらのマウスを用いた計画については後述する。
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Strategy for Future Research Activity |
目的2の解析をより包括的に行うために、現在Foxp3-Cre / YFPマウスとR26-LSL-Gi-DREADDマウスを交配している。このマウスは、クロザピン-N-オキシド(CNO)に特異的に結合する受容体をTreg特異的に発現する。 CNOが受容体に結合すると、細胞内の経路が活性化され、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)活性を抑制される。ケモカイン受容体活性はGPCRシグナル伝達に依存するため、CNOの投与によりケモカインによるTregの遊走を特異的に阻害すること可能になる。CNOは分子量約342の低分子化合物であり、皮膚のバリアを通過することが可能であることから、CNOを皮膚に塗布することでも真皮中のケモカインによるTregの移動を阻害することができると考えている。これにより接触過敏反応においてTregが炎症を制御するのにケモカインがどの程度関与しているかを明確に理解することが可能になると考えている。 目的3の解析をより詳しく行うために、現在CD11c-YFPマウス(黄色蛍光タンパクを真皮樹状細胞に発現する)とFoxp3-RFPマウス(赤色蛍光タンパクをTregに発現する)を交配している。赤と黄色の蛍光は互いにクリアに区別可能であり、これはこれまで提案していたCD11c-YFP×Foxp3-GFPマウスよりも有利である。これらのマウスを用いて、誘導性皮膚関連リンパ組織(iSALT)内のTregの可視化、特にiSALTにおける樹状細胞(DC)との相互作用による生理的作用とそのメカニズムについて解析を進める予定である。
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