2018 Fiscal Year Annual Research Report
Confirmation of the molecular mechanism of cytoplasmic drug delivery via faint electricity
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18F18097
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小暮 健太朗 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (70262540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HASAN MAHADI 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 微弱電流 / 細胞シグナル伝達 / 細胞質デリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、機能性核酸等の高分子物質の微弱電流処理による細胞質送達の分子メカニズムの解明である。これまでの我々の研究により微弱電流処理によって細胞が高分子物質を取り込み、細胞質にまで送達されることが明らかとなっているが、詳細な分子メカニズムは不明である。そこで本研究では、微弱電流によって誘導される細胞シグナル関連タンパク質を明らかにするために、Ca2+等のカチオンチャネルに着目し、微弱電流による発現変動を定量評価するとともに、細胞内Ca2+量の変動、および下流のシグナル伝達分子の解明を目指している。これまでに、微弱電流処理による組織細胞間隙の開裂を見出しており、細胞レベルの情報と合わせ、機能性核酸を用いた疾患治療についても検討する計画である。すなわち、肝臓や腎臓などに微弱電流処理を施すことでsiRNA等を組織内送達し、in vivoでの遺伝子発現制御、さらにはモデル疾患への治療効果を検討する計画である。 平成30年度は、培養細胞系を用い微弱電流処理によるシグナル伝達分子の解明に取り組んだ。Ca2+をセカンドメッセンジャーとする様々なシグナル伝達経路関与タンパク質、すなわちProtein Kinase C、Hsp90タンパク質、さらにそれらによって活性化されるRho GTPaseの活性化について、微弱電流処理の影響を検討したところ、それらタンパク質が活性化されることが明らかとなった。さらに、それらのタンパク質を阻害することで、微弱電流による外来物質の細胞内取り込みが有意に抑制されることを見出した。これらのことから、これらの解析結果に基づいて、微弱電流処理により誘起される細胞内シグナル伝達の活性化がエンドサイトーシスの誘起および外来物質細胞取り込みに重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、微弱電流刺激による細胞シグナル伝達系の関与を明らかにし、さらに具体的に微弱電流処理によるエンドサイトーシス誘起と外来物質の細胞内取り込みに関与するタンパク質を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、培養細胞系を用い微弱電流処理によるシグナル伝達分子の解明に取り組み、Hsp90などのシグナル伝達系関連タンパク質が微弱電流によるエンドサイトーシスに関与することを見出した。本年度は、微弱電流によるエンドソーム膜の性質について検討するとともに、培養細胞の成果に基づいて、in vivoへの応用を検討する。微弱電流を用いた薬物送達技術のイオントフォレシスは、皮膚を対象としているが、これまでの研究成果から、微弱電流による組織・細胞の生理機能の変化は、皮膚細胞以外にも適用可能と思われ、微弱電流を用いて肝臓など皮膚以外の組織に機能性核酸等を送達し、特異的遺伝子の発現制御を試みる。さらに、肝臓疾患モデル等に疾患関連遺伝子に対するsiRNA等を送達することで治療効果を検討する。
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Research Products
(2 results)