2019 Fiscal Year Annual Research Report
Multisite investigation of stone weathering in underground built heritage
Project/Area Number |
18F18122
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小口 千明 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20312803)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GERMINARIO LUIGI 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
|
Keywords | 田谷の洞窟 / 吉見百穴 / 大谷石地下採掘場跡地 / 水-岩石反応 / 二次析出物 / 環境モニタリング / 温度 / 湿度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「歴史的価値のある地下空間の風化調査」で対象とした関東地方の3つの地下文化遺産(田谷の洞窟、吉見百穴、大谷石地下採掘場跡)のそれぞれの調査対象地について、地質学的特徴を多角的な視点から精査した。すなわち、顕微鏡観察や分光分析(光学顕微鏡法、局所元素分析を伴う電子顕微鏡法、X線粉末回折、蛍光X線分析)、物理学的性質を把握するための各種試験(水銀ポロシメトリー、吸水/吸着およびスレーキングテスト)などを行い、地盤材料の特性を把握した。
また、各調査対象の坑道内外の温湿度環境を把握するために自動観測できる観測サイトを設置した。このモニタリング測定で得られたデータについては、1~2か月おきの現地調査の際に回収した。地下水や雨水、周辺の池の水なども採水し、実験室に持ち帰って化学分析(イオンクロマトグラフィー、pH測定)を行った。
得られたデータを解析し検討した結果、田谷の洞窟においては主としてカルシウム硫酸塩の析出に適した地盤環境であり、大谷石地下採掘場跡地においてはナトリウム硫酸塩の析出が主体であることが明らかになった。また、吉見百穴においてはアルミニウム・鉄・ナトリウム・マグネシウムなどの硫酸塩が複塩として、坑内の環境変動に伴い相変化しながら析出してくることが分かった。すなわち、各対象地の基盤岩の種類と坑内温度や湿度などの環境条件が、析出塩類の種類と析出時期をコントロールしていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の終盤はCOVID-19感染拡大の影響を受けたが、それまで(2020年2月頃まで)に大半のサンプリングと化学分析や物性試験を終えている。残るところは、結果の解析であり、COVID-19の影響をそれほど受けずに進めることができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
収集したデータについて考察を深め、国内外での学会発表と論文執筆活動を進める。COVID-19により多少の移動制限はあるものの、必要に応じて現地調査を行い、温湿度センサーの交換を行う。また、データの検討結果次第では、追加の分析や実験も行う。
|
Research Products
(17 results)