2018 Fiscal Year Annual Research Report
Renewed Japanese classical studies in the global era -Research on educational practice in Vietnam
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18F18301
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN VU QUYNH NHU 国際日本文化研究センター, 研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | 日本古典 / 古典の大衆化 / 俳句国際化 / 古典の面白さ / ベトナムの古典学 / 古典の国際化 / 古典の力 / 古典翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の本研究では、古典学を教育実践の視点から、そして古典学の大衆化・グローバル化についての視点から考察した。 具体的にはまず、古典学の図書や古典学について記載している教科書を集めて、どのような教科書や図書があるかを研究した。そして、学校における古典の授業を見学し、どのような授業が行われているかを調査した。担任の先生方と面談し、どのような古典学のテキストを使用しているかについて調査した。 次に、一般市民を対象とした「古典文学を楽しむ」ための講座を見学し、調査し、できる限り多くの関連情報を入手し、分析した。さらに、古典学に関する研究会、勉強会、研究ゼミ、特に外国人の研究者がいる研究会に参加し、お互いの研究課題に関する課題、困難などについて意見交換した。 古典学に関するシンポジウムや講演会に参加し、講演者と研究課題について意見交換した。さらに、これまで研究してきた俳句に関しては、句会や講演会に参加し、現在の俳句に関する研究課題、世界における俳句の普及状況などについて調査した。また、日本の俳句教育研究会に入会し、さらに日本における俳句教育に関する活動の情報などを入手し、日本の小中学生対象の俳句教育活動の情報などについて研究してきた。 また、受け入れ機関の国際日本文化研究センター(日文研)では、受け入れ教員である荒木浩教授の中世文学の講座、そして、大阪大学の月曜会(俳句勉強会)に参加した。さらに、日文研での講演会や荒木教授の共同研究会「投企する古典性ー視覚/大衆・現代」に参加し、日本の古典学に関する研究知識をより深めることができた。 この研究期間中、日本及びベトナムにおける国際学会で研究成果を発表した。さらに、関連課題の研究論文をベトナムの研究雑誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究中に、熊本県立湧心館高等学校の古典授業を見学した。「マンガ作成」の形式、「取り札」、アニメのビデオを見せる授業によって生徒が「古典に親しむ」ことを実践しており、熱心に参加している様子が窺えた。福山市の藤井先生による、「古典文学を楽しむ」、「面白い古典味わい」という『更級日記』「富士山の伝説」講座に参加した。中世時代からの伝統的な遊び「貝合わせ」(貝殻の内側に描かれた題材は源氏物語の全帖)が授業で紹介される等、遊びを通して古典学習を楽しんでいることが理解できた。 国文学研究資料館における特別展示「祈りと救いの中世」、特設コーナー「源氏物語画帖と古写本」、国際子ども図書館で「赤い鳥」展、サントリー美術館で「扇の国、日本」の展示会・記念館を観覧し、古典文学の広報・宣伝の役割に関する知見が広められた。更に、福山市尾道の文学公園・文学町・志賀直哉旧居作家の記念館、熊本県の夏目漱石の句碑、「芭蕉園」に関する句碑等の調査を行い、資料を集めてきた。 その他、早稲田大学「漢字漢語教育」研究会、明星大学「古典は本当に必要なのか」カンファレンス、お茶の水女子大学の「国語国文学会」、国際俳句交流協会「季語・切れ字・文体」講演会、関西大学の勉強会等に参加し、古典学の専門家と面談した。そこで国語教育の課題、古典文法、古典教育、古典言語のテキスト使用、社会発展やグローバル時代における国内外の外国人学生を対象とした教育に関する古典教育の意義や魅力、伝え方に関する研究課題を深く理解することができた。特に、ベトナムで開催した「日越俳句交流会」では、日本の独特な「句会」や季語を大切にして俳句を詠んでいる姿をベトナム人に紹介することができた。 また、受け入れ機関の日文研で開催された研究会・講演会や荒木教授の共同研究「投企する古典性ー視覚/大衆・現代」に参加し、日本の古典学に関する研究知識をより深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究は、基本的にはこれまでの研究を継続するものである。「古典の学習は必要ではない」という見解に対する反論材料の蓄積のために、日本での日本古典学の現代的観点を中心に引き続き調査し、基本的な情報を収集するために調査・研究を行う。日本の大学や高校で行われている日本古典学の授業や講座を見学し、その状況や授業法などを引き続き調査し、研究する。更に、日本の古典学の大衆性、現代性という古典学の新たな創造性という視点で研究を行いたい。現代社会における古典学はどのように変化しているか。その現代化の背景の中で、古典学はどのような創造性を発揮しているか。日本で古典学が一般市民の生活へどのように浸透しているか。視覚性、大衆性、現代性という観点でどのような人たちが古典学に触れているのか、またどのような人がそれを読んでいるのかについて研究する。 そして、古典学の教育事例調査を行う。古典学の授業開発を行っている大学・高校を訪問調査する。大学の古典学教育の課題及び改革に関して比較調査を行う。古典学教育の課題及び改革に関して比較調査を行う。日本にある多数の大学での古典学の教育・研究事例を収集し、教授に対してインタビュー調査を行う。 さらに、母国であるベトナムにおいても、日本の古典学の教育状況という視点からの研究を展開する。ベトナムにおいて日本の古典学を導入する方法論・応用論を考察し、日本の古典学教育の国際的な意義づけについて探求する。特に、ベトナムにおいては日本の古典文学のテキストは存在していない状況であるため、ベトナムで使用可能な日本の古典学のテキストの作成を目指して研究を行う。 そして引き続き、日文研での学術研究会、共同研究会に参加し、古典学に関する知見を深める。さらに研究成果全体の統括を行い、学術書を執筆する。
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