2018 Fiscal Year Annual Research Report
A novel approach using aptamers for histone code analysis
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18F18330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 猛 東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (70306835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE SUJIN 東京大学, アイソトープ総合センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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Keywords | DNAアプタマー / エピゲノム / ヒストン修飾 / SELEX / MALDI-MS / ISET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はアプタマーをベースとした、クロマチンアフィニティー精製法を用いた質量分析計でのヒストン修飾解析法の開発である。遺伝子変異によらない遺伝子発現制御機構であるエピゲノム修飾は、DNAのメチル化とヒストンタンパク質の翻訳後修飾で制御されている。本ヒストン修飾解析法により様々な疾患に関わるエピゲノム制御の解析に役立つ技術とする。 まず、最初にヒストンH3の3カ所の異なる部位の修飾(H3K4Me3, H3K9Me3, and H3K27Me3)を標的のヒストン修飾として選択した。これは遺伝子発現制御に重要と知られており、かつ比較的豊富に存在する修飾であるからである。これらについてアプタマースクリーニングをおこなった。アプタマーセレクションはランダムDNAライブラリーとヒストン修飾ペプチドを結合した磁気ビーズを使ってSELEX (Systematic evolution of ligands by exponential enrichment)法でおこなった。1stセレクションで得られた標的ヒストン修飾に特異的に結合するアプタマーは、異なる修飾のペプチドを用いてカウンターセレクションをおこない、クロスリアクションを排除した。最終セレクションラウンド後のDNA poolは次世代シーケンサにより配列決定をした。 今後、これらのヒストン翻訳後修飾を認識するアプタマーについて親和性と特異性の解析をおこない、最終的に最適なアプタマーを用いてアフィニティー精製とMALDI-TOF MSによるISET(integrated selective enrichment target)プラットフォームでの解析法を確立する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に挙げたヒストンH3のリジン27番目のトリメチル化修飾(H3K27me3)を標的としたアプタマーの他にH3K27me3と同様に転写抑制に働くH3K9me3と遺伝子のプロモーター領域に存在するH3K4Me3を標的として選択し、95%以上純度のビオチン化した修飾ペプチドを合成した。それらの翻訳後修飾ペプチドとストレプトアビジン結合磁気ビーズをアプタマースクリーニングに使用した。ペプチドと磁気ビーズの結合量はLC-MSにより定量し十分量のペプチドがピーズに結合されたことを確認した。 最初のスクリーニングラウンドでは、6 x 10の15乗のランダムDNAライブラリーを順次3種の標的ペプチド結合磁気ビーズと反応させた後、DNAの回収をおこないPCRで増幅させた電気泳動での精製を行った。カウンターセレクションラウンドでは非修飾およぶ異なる修飾のペプチドを用いて繰り返し選択を行う事で高特異性のアプタマーを選択した。最終的なDNAプールについて次世代シーケンサ(NGS)による解析をおこなっている。 初年度の予定では3標的についてスクリーニングを終える事であったので、3標的のスクリーニングを終え配列決定の段階まで進んでいるのでおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NGS解析によって多くのDNA配列が得られると予想される。この中で最もリード数の多い配列が標的ヒストン修飾への特異性が高いと考えられる。それを検証するため上位から複数のDNAアプタマーを選択、合成し標的修飾とカウンター修飾に対する結合アッセイをおこない特異性の高いアプタマーを選択する。 検証後に得られたアプタマーは研究分担者が以前からおこなっている独創的な固相抽出法であるISET(integrated selective enrichment target)プレートを用いた検出法に適用する。この手法が構築されれば、特異的な修飾を持つクロマチンのアフィニティー精製(ChAP: chromatin affinity-precipitation)がおこなえる。ISETプレートで濃縮された特異的な修飾をもつヒストンは質量分析計(MS)で解析できる。MALDI-TOF MSを用いれば直接解析が可能であり、回収することによってLC-MSによって詳細な解析も可能であると考える。今後の方針として予定通り、この新規ChAP-MS解析法の確立を目指す。
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