2019 Fiscal Year Annual Research Report
Catalytic triazophosphorine in tandem intermolecular and intramolecular dehydration of peptide formation and transformation
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18F18339
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (90273268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAGAL DATTATRAYA 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | ATP / アミノ酸 / ホスファゼン触媒 / カルボン酸 / アミン / アミド / ペプチド / オキサゾリン |
Outline of Annual Research Achievements |
アデノシントリリン酸(ATP)を模した触媒前駆体トリアザホスホリン(TAP)骨格をカテコールで修飾したリン化合物TAP(catec)3を触媒量用いた場合、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合反応を効果的に促進し、アミド合成に有用なことを証明した。TAP(catec)3は化学量論量の反応剤として反応の初期段階では働くが、その結果分解を経て反応の後期で生成した環状カテコールホスファイトが触媒として機能するという「異なる活性種が段階的に働く反応促進作用」をNMRおよびESI-MS分析などを駆使して明確化した。現在本成果は論文として国際学術雑誌で印刷中である(Synthesis 2020)。 続いてTAP(catec)3を用いたアミド基構築反応は二種の異なるアミノ酸同士(N末端保護alpha-アミノ酸とC末端保護alpha-アミノ酸)の縮合によるペプチド鎖合成にも有用であることを証明した。実にアミノ酸側鎖が異なる38種類のalpha-アミノ酸へと応用することに成功し、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドを合成することもできる。本成果は現在、学術論文を執筆中である。 TAP(catec)3はさらに多機能性である。例えばセリンやスレオニン残基をもつペプチドを用いた場合、分子内脱水縮合が進行し、効率的にオキサゾリン骨格が形成されることも見出した。触媒回転数は最高で1万回を優に超えている極めて活性の高い触媒系である。触媒作用機構についても一部明らかとなり、アミド基形成過程とは微妙に違う反応機構が提案された。本成果も現在、学術論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにないリン原子の化学修飾に基づく触媒骨格を用いてカルボン酸とアミンからアミド基を脱水的に形成する方法を見出した。同じホスファゼン骨格を反応剤兼、触媒前駆体として用いるこの新奇な方法論はさらに幅広く応用され、オリゴペプチドやオキサゾリン骨格の構築法へと展開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
トリアザホスファゼン骨格の化学修飾法をさらに改変し、より頑健な構造で触媒活性の高い触媒へと応用していくことに加え、様々な不斉炭素をもつalpha-アミノ酸誘導体の変換へと展開していく。現時点では不斉炭素の絶対立体配置がエピ化する過程を優位に抑えきれていない。この問題点を克服し、ペプチド系医薬や生理活性物質の母骨格の簡便な合成法へと応用していく必要がある。
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