2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development and biological application of photoreversible protein labeling technology
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18F18340
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 進 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30420433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SARKAR HIMADRI 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質ラベル化 / eDHFR / フォトクロミック化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
メトトレキセート(MTX)はジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の競合阻害剤として知られており、抗がん剤やタンパク質ラベル化リガンドとして利用されている。本研究では、生体機能の可逆的な光制御を達成するために、リガンドの着脱が光制御可能なタンパク質ラベル化技術の開発を目指して研究を行った。MTXの構造中のいくつかの原子を置換することで、アゾベンゼン構造を有するMTX誘導体(azoMTX)を設計し、その機能評価を行った。紫外可視吸収スペクトルの測定結果から、azoMTXは365 nmの紫外光照射により熱平衡状態から異性化すること、および560 nmの可視光照射により熱平衡状態に戻ることが示された。また、大腸菌由来DHFR(eDHFR)に対するazoMTXの酵素活性阻害能について測定したところ、紫外光を照射していないazoMTXを酵素反応溶液に加えても酵素反応が進行したが、紫外光を照射したazoMTXを加えた際は、酵素反応の阻害が確認された。また、azoMTXは酵素反応溶液中でも繰り返し光異性化させることが可能であり、酵素反応を可逆的に制御可能であった。また、蛍光標識メトトレキセートを別途合成し、azoMTXの添加および光照射の有無により、蛍光偏光の変化を調べる蛍光偏光解消アッセイによりazoMTXのeDHFRへの着脱が光で制御できるかどうかを調べたところ、実際に紫外光照射によって解離定数が小さくなることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛋白質eDHFRとリガンドMTXの複合体の結晶構造に基づいた光応答性リガンドの分子設計により、タグ蛋白質への着脱を光で制御可能な化合物azoMTXの開発に成功した。この分子は異なる波長の光照射によってタグ蛋白質に結合する分子の割合を調整可能であり、生体分子機能の定量的な光制御技術への展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が開発したazoMTXと同様の分子(phototrexate)がヒトDHFR(hDHFR)の活性を阻害することが報告された。すなわち、azoMTXをそのまま哺乳類細胞の実験に用いると光照射によって毒性が出ることが予想される。そこで、今後の展開として、eDHFRとMTXの複合体ならびにhDHFRとMTXの2つの結晶構造から、eDHFRにのみ選択的に結合・解離が可能な光応答性リガンドの設計を行う。
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