2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Novel Molecular Machines based on Metal-Assisted Supramolecular Assembly
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18F18343
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
幅田 揚一 東邦大学, 理学部, 教授 (40218524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE EUNJI 東邦大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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Keywords | ピラーアレーン / 銀イオン / ジシアノアルカン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は「適応型ゲスト結合システム」について検討を行った. ピラー[5]アレーン空孔の両末端にそれぞれチアオキサクラウンエーテルユニットを導入して金属イオンを結合することができるようにしたピラー[5]-ビス-チアオキサクラウン(1)を3段階で合成し金属イオンによって選択性を制御することができる「適応型ゲスト結合システム」について検討した. 化合物(1)ではチアオキサクラウンエーテル部位では金属イオンを,一方,ピラーアレーン部位では有機ゲストを捕捉することができ,ハイブリッド錯体を形成することが予想された.はじめに鎖長の異なるα,ω-ジシアノアルカン(N≡C-(CH2)n-C≡N, n=2(C2),n=3(C3),n=4(C4),n=5(C5),n=6(C6))との錯形成を1H NMRスペクトルによって検討したところ,n=6を除くゲストがピラーアレーン部位に包接されることが明らかになった.このときの安定度定数はC2>C3>C4>C5>>C6(C6はほぼゼロ)であった.また,n=2~6すべての錯体の結晶構造が得られた.一方,(1)に2当量の銀イオンを添加したところ,2個の銀イオンが上下のチアオキサクラウンエーテル部位に包接されることが明らかとなった.この銀錯体にn=2~6のジシアノアルカンを添加したところ,n=2と3のα,ω-ジシアノアルカンのみがピラーアレーン部位に包接されることがわかった.このときの安定度定数はC2>C3>>C4=C5=C6(C4,C5,C6はほぼゼロ)であった. 以上のことからこの化合物は金属イオンの添加によって特定の長さのα,ω-ジシアノアルカンのみを選択的に包接する「適応型ゲスト結合システム」であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は適応型ゲスト結合システムについて検討を行い,研究成果としてまとめあげることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) Ⅰ価のヨウ化物類は二核[Cu2I2]構造あるいは四核[Cu4I4]構造クラスターのどちらを形成するかによって,異なる波長の蛍光を発する興味深い化合物である.[Cu2I2]クラスターが溶液状態ばかりでなく結晶状態においてアミン部位へ結合すると強いオレンジ色の発光を生じることが知られている.本研究ではアミン-[Cu2I2]型MOFの強い発光が,第3の化学種の添加によって消光することを利用して,結晶状態で特定のアミノ酸のセンサーとして利用できるかを検討する. (2) ピラーアレーンに光駆動型官能基を導入した化合物を合成する.ピラーアレーンを構成する芳香環5個のうち2個にニトロベンゼンを1個ずつ導入した化合物を合成したのち還元して目的物を合成する.ゲスト分子添加後に紫外線を照射しながらUV-visやNMRを測定して異性化前後における包接能の検討を行う.
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