2018 Fiscal Year Annual Research Report
出水時の流木災害の機構解明とハザードマップおよび減災対策への適用
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18F18359
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
音田 慎一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50402970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KANG TAEUN 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | 流木 / 予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,局地的集中豪雨に伴う水災害によって発生した流木が家屋,橋梁などの構造物に甚大な被害をもたらしている.こうした被害を軽減させるためには,流木が動き始めてから衝突,或いは停止するまでの挙動を明らかにするとともに,流木の挙動をコントロールする方法を考えることが重要である. 流木の挙動は,水の流れ,幹・枝・根といった流木の形状,底面摩擦,流れ場を支配する河川構造物の有無などによって大きく異なると考えられる.そこで本研究では,洪水中の流木挙動を精度よく再現できる数値解析モデルの構築を目的としている.具体的に,流れ場については,水位や水の流速,圧力を平面2次元的に,かつ精度よく求める格子法(Nays2DHモデル)を適用した.また,流木の運動については流木を粒子の結合で表現し,個別要素法によって流木相互の衝突を考慮するとともに,より現実的な形状を有する流木の挙動を予測するため,流木の先端に根の影響を組み込んだ.そして両者をカップリングし,より高速で計算できるように並列計算手法を適用することで,流水中の流木挙動に対して効率的かつ高精度の予測法を構築した.数値解析モデルを橋脚が存在する場での流木挙動に関する水理模型実験に適用し,モデルの妥当性を検証した.その結果,流木相互の衝突を考慮しない場合には流木同士が重なり合ってしまうのに対し,流木相互の衝突を考慮することで,流木がお互いに接触しながら停止する実験結果の特徴を精度よく再現できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
洪水中の流木の挙動は,水の流れ,幹・枝・根といった流木の形状,流木の運動方向に対する底面摩擦の影響,流れ場を支配する河川構造物の有無などによって大きく異なると考えられる.そこで本研究では,水位や水の流速,圧力を連続的に,かつ精度よく予測できる一般座標系での平面2次元モデルと流木を粒子の結合で表現し,流木相互の衝突を考慮した個別要素法をカップリングすることで,流水中の流木挙動に対して効率的かつ高精度の予測法を構築した.現在までに流木同士の衝突や流木の根の影響を数値解析モデルの中に考慮しており,流木相互の衝突を考慮することで,流木がお互いに接触しながら停止する実験結果の特徴を精度よく再現できることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,水の流れ,幹・枝・根といった流木の形状,流木の運動方向に対する底面摩擦の影響,流れ場を支配する河川構造物の有無などを考慮することで,洪水中の流木挙動を精度よく再現できる数値解析モデルの構築を目的としている.そこで,一般座標系での平面2次元モデルと流木を粒子の結合で表現し,流木相互の衝突を考慮した個別要素法のカップリングを行い,流木挙動に対して効率的かつ高精度の予測法を開発した. 今後,水理模型実験を実施し,流水中における移動床上の流木挙動を把握するとともに,数値解析モデルを水理模型実験に適用し,モデルの妥当性を検証する.また,粒子同士の衝突について個別要素法とは異なる簡易な衝突モデルを開発し,個別要素法による流木挙動の数値解析結果との比較を行う.
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