2018 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of Hydro-Power Plants and Climate Change on River Flow Regimes in the Himalayan Mountains
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18F18360
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐山 敬洋 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70402930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHU NETRANANDA 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | 水力発電 / 気候変動 / 河川流況 / インドヒマチャル・ヒマラヤ地域 / サトレジ川 / ビアーズ川 / 生物多様性 / 土壌水分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インドヒマチャル・ヒマラヤ地域を対象に開発が進む地中トンネルに着目し、水力発電の開発が河川流況や生物多様性に与える影響を、気候変動の影響も含めて分析する。従来の関連研究に比べて、水力発電開発から河川流況、土壌水分量変化、さらには山岳地域の農業と生物多様性までを包括的に取り扱う点がこの研究の特徴である。地中トンネルの環境影響評価に基づき、環境政策の意思決定者や、農業従事者、水管理者、水力発電関連会社にとって必要となる科学的情報を提供するほか、気候変動の影響が懸念されるヒマラヤ地域の水環境・エネルギー・農業の問題を包括的に議論する。 平成30年度は、インダス川上流に位置するサトレジ川、ビアース川の水文現象に着目し、発電トンネルの開発と気候変動が河川流況の変動に及ぼす影響を検討した。具体的には、地中トンネルが水力発電開発にもたらす効果、地域の土壌水分量に及ぼす影響、またそれらが河川流況に及ぼす影響を包括的に分析するため、現地調査を実施した。同現地では、2か所で土壌水分量センサーを設置するとともに、サトレジ川、ビアース川流域を対象にして、計8か所の水力発電サイトを特定した。また、100か所以上の発電所に関して基礎データを収集し、関連文献のレビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年3月にヒマチャル・ヒマラヤ地域を対象に現地調査を実施した。現地の2か所で土壌水分量センサーを設置するとともに、サトレジ川、ビアース川流域を対象にして、計8か所の水力発電サイトを特定し、関連するデータも収集が進んでいるため、概ね順調に進んでいるものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌水分量の情報は現地の農業にとって重要であり、地中トンネルによる小規模発電が、当該地域の水循環に及ぼす影響をより詳細に分析する。次年度も、再度サトレジ川とその部分流域を中心に現地調査を実施し、設置したセンサーのデータを取得・分析する。また同地域の農業、水管理、水力発電開発の実態、それらが流域水循環に及ぼす影響について分析した論文を包括的にレビューする。対象地域の小規模水力発電については、100か所以上の発電所に関して基礎データを収集したので、次年度はその分析とともに、周囲の植生活性指標を含めた土地被覆をリモートセンシングデータによって解析する。さらに、気候変動の影響については、1970年から2017年の期間を対象にインド気象局が整備した降水データを季節ごとに解析して、近年の変動傾向を明らかにする。また、同データセットには空間解像度0.5度で月平均の土壌水分量データが含まれるため、上記の現地計測データとも比較をしながら、土壌水分量の変化を分析する。
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