2018 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養肺癌細胞を用いたEMT誘導メカニズムの解明
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18F18414
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梁 明秀 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (20363814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIN JIHYE 横浜市立大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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Keywords | proteome / mass spectrometry / BONCAT / secretome / EMT / 3D-culture |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、3D培養システムにおいて肺癌細胞でTGF-β誘導性上皮間葉転換(EMT)に関連する分子を選択的に同定することを目指している。そのために、今年度は以下の研究を実施した。 1.従来のプロテオーム解析法では検出が困難であった血清(FBS)を含む培地中に含まれるタンパク質(cell secretome)を、新規合成タンパク質を選択的に濃縮することが可能なBONCAT法と安定同位体標識法(pulse-SILAC)を組み合わせて分析し、約400種類のタンパク質を同定した。また、複数の分泌経路予測プログラムによる解析の結果、無血清培地と比べて、血清を含む培地で細胞培養した場合に2倍以上発現量が増加したタンパク質の93.5%は分泌タンパク質であることがわかった。 2. 2Dと3D培養システムで培養した肺癌細胞が分泌するcell secretomeを分析するために、ProteoMiner前処理法を考案し、552種類のタンパク質を同定した。また、2Dと比べて、3D培養システムを用いた場合に2倍以上発現量が増加したタンパク質は120種類、減少したタンパク質は49種類であり、extracellular exosome, extracellular vesicleに関連するタンパク質などが多く含まれていた。 3. BONCAT法を改良し、安定同位体を用いずに新規合成タンパク質をStrain-promoted alkne-azide cycloaddition (SPAAC)を介して選択的に濃縮する新規化合物を開発した。また、これを用いて全工程を一つのチップカラム内で行うclick tipを試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BONCAT法とpulse-SILAC法を組み合わせた方法やProteoMiner前処理法により、培養上清中のcell secretomeの分析を可能とした。また新規化合物を開発し、これを用いたclick tipも試作しており、仕上げの段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
3D培養システムにおいて肺癌細胞でTGF-β誘導性EMTに関連する分子を同定するために、今後は以下の研究を実施する。 1. click tipプロトコルの最適化を行い、新技術の有用性を明確にする。 2.TGF-β処理した肺癌細胞中および培養上清中の新規合成タンパク質をclick tipを活用して網羅的に解析し、2Dと3D培養システムにおいてTGF-β処理により発現変動する分子の違いを明らかにする。 3. TGF-β処理後の早期と後期における肺癌細胞中および培養上清中の新規合成タンパク質の違いをclick tipを活用して網羅的に解析する。また、RNA-seq解析やリン酸化タンパク質解析も行い、バイオインフォマティクス技術を用いて、これらの結果を統合的に判断し、生体内の微小環境をより反映した状態である3D培養でのTGF-β処理早期および後期に特徴的なEMT関連分子を同定する。
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