2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるフェニル酢酸の合成経路とオーキシンとしての生理機能の解明
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18F18708
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
笠原 博幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00342767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COOK SAM 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-07-25 – 2020-03-31
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Keywords | オーキシン / 植物ホルモン / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーキシンは植物の成長や分化の制御において非常に重要な役割をもつ植物ホルモンの一種である。天然オーキシンの一種であるフェニル酢酸(PAA)の生合成経路とその生理的役割はまだ解明されていない。本研究では、マメ科やコケ植物、アブラナ科のモデル実験植物を使ってPAAの生合成に関与する可能性のある候補遺伝子の欠損変異体を作成し、これらを用いてPAAの生合成や生理的役割、微生物との相互作用における役割を明らかにする。 コケ植物のヒメツリガネゴケを用いて、PAAの生合成に関与する候補遺伝子をCRISPR/Cas9法でノックアウトするため、それに必要なコンストラクトの作成を行った。現在、そのコンストラクトを用いてヒメツリガネゴケの形質転換を進めている。また、マメ科植物のMedicago truncatulaにおいても、PAAの生合成に関与する候補遺伝子をCRISPR/Cas9法でノックアウトするため、それに必要なコンストラクトの作成を進めている。 シロイヌナズナにおいてインドール酢酸(IAA)とPAAの生理的役割の差を明らかにするため、これらのオーキシン処理により誘導される遺伝子をRNAseqで網羅的に解析する実験を進めた。異なるタイムポイントでオーキシンをシロイヌナズナに処理し、それぞれのサンプルからmRNAを抽出した。これらのサンプルを使ってRNAseqを行い、現在そのデータ解析を進めている。 また、シロイヌナズナにおいて、PAAの生合成に関与する可能性のある候補遺伝子のT-DNA挿入変異体の整備を進めている。ジェノタイピングによりホモ系統の選抜を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、シロイヌナズナおよびコケ植物とマメ科植物のモデル実験植物を使って、PAAの生合成研究を行うための研究基盤の整備を進めた。CRISPR/Cas9法によりノックアウト変異体を作成するために、これに用いるコンストラクトの作成を予定通り進めることができた。また、形質転換に使用するコケ植物とマメ科植物の栽培法も新たに実験室で確立することができた。次年度に形質転換を行う予定である。 シロイヌナズナを用いてIAAとPAA処理により誘導される遺伝子の違いを解析するため、液体培養中でのオーキシン処理実験を行った。異なるタイムポイントで、微生物の感染を抑えながら多数のオーキシン処理サンプルを作成することに成功した。これらを使ってRNAseqデータを集め、順調に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、ヒメツリガネゴケとMedicago truncatulaを用いて形質転換体の作成を行う。また、オーキシン代謝物分析を行うため、ぞれぞれの野生型の系統を使って各代謝物の予備分析を行う。その後、PAA生合成の候補遺伝子の欠損変異体を使ってオーキシン代謝物分析を行い、候補遺伝子とPAA量との関係性を調べる。 シロイヌナズナの実験において、IAAとPAA処理により発現量に有意差が見られる遺伝子を選抜し、2つのオーキシンによる遺伝子制御の違いを調べる。また、PAA生合成候補遺伝子のノックアウト変異体の表現型とオーキシン代謝物分析を行い、候補遺伝子とPAA量の関係性を調べる。
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Research Products
(1 results)