2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Design of Streptavidin Mutant with specificity for artificial biotin derivatives
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18F18765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 豪 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (20263204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI CONG 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | ストレプトアビジン / 複合体 / Ⅹ線結晶構造解析 / 分子設計 / 精製システム |
Outline of Annual Research Achievements |
ビオチン-ストレプトアビジンは生物界で最も結合定数の高い組み合わせであり、この組み合わせを用いたStrep-tagとして知られている蛋白質の発現・精製システムが開発されている。8つのアミノ酸からなるタグペプチドを認識するストレプトアビジンを担持したビーズで目的タンパク質を高純度に精製することができるシステムである。 しかし、生体内にはビオチンがビタミンとして存在しており、ビタミンが存在する系では精製システムも不活化され、ビーズに担持したストレプトアビジンが機能を失うケースが想定される。そこで本研究では天然型ビオチンに干渉されない新規なタグ精製システムの構築を目指す。 これまでに我々はストレプトアビジンの活性部位の4カ所に変異を加えると天然型ビオチンに全く結合せず、非天然型ビオチンにのみ結合する変異型ストレプトアビジンの作製に成功している。そこで本研究を推進するには、まず8つのアミノ酸からなるタグペプチドと野生型ストレプトアビジンの複合体のⅩ線結晶構造解析を基に、天然型ビオチンには結合せず、タグペプチドにのみ結合する変異体ストレプトアビジンを作製する必要がある。そのためには野生型ストレプトアビジンとタグペプチドの結合様式を確認することから開始する必要があり、その複合体構造を基にペプチドに対する親和性を維持したまま、ビオチンには干渉しない新たな変異体ストレプトアビジンの分子設計を行うことを具体的な目的としている。 これまでに野生型ストレプトアビジンのアポ型蛋白質のほか、天然型ビオチンとの結合定数を落とした数種類の変異体の精製を行い、タグペプチドとの結晶構造解析を進めるとともに、結合定数の測定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野生型ストレプトアビジンとビオチンの結合定数は10のマイナス14乗から15乗モルのオーダーで、生物界における最強の結合定数を誇る。従って、野生型ストレプトアビジンについて大腸菌を用いて大量に発現・精製しても、大腸菌由来のビオチン化蛋白質が複合体を形成し、アポ型の蛋白質を精製するのは大変に困難で、アポ型とペプチドの複合体結晶を作製することができなかった。一方、天然型ビオチンと結合しない変異体をはじめ、結合定数を低下させた変異体を有しており、タグペプチドとの複合体の結晶構造解析を目指して、精製を試みた。結晶は複数種類で得られたものの、複合体結晶の電子密度からタグペプチドに相当する電子密度を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究を推進するためにはまず複合体のⅩ線結晶構造を基に分子設計を行う必要がある。そのため、引き続き複合体のⅩ線結晶構造解析のためのアポ型ストレプトアビジンとTagペプチドとの複合体の結晶化を継続して行う必要があると思われる。複合体結晶が得られたらクライオプロテクタントの探索、極低温下でのⅩ線回折実験および大型放射光実験実験施設でのⅩ線回折強度データの収集を行い、複合体のⅩ線構造を解析する予定である。複合体の構造が得られたら、その構造を基にビオチンには干渉しない変異体を設計することを予定している。
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