2018 Fiscal Year Annual Research Report
Does protein clustering play a role in biological magnetoreception?
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18F18789
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
前田 公憲 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (70229300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ANTILL LEWIS 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-10-12 – 2021-03-31
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Keywords | クリプトクロム / 磁気感受 / ラジカル対 / 蛍光顕微鏡 / 磁場効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,半年の研究機関であったが,多様な蛍光タグをつけたクリプトクロム類を発現させて,精製する準備を行った.HeLA細胞に,プラスミドを導入して,蛍光タグをつけたクリプトクロムの発現実験を行った.発言した細胞は直接蛍光顕微鏡を用いてそのセル中に発現したクリプトクロムを見ることが出来た.さらにそれらに対する光照射により,セル内部において多量化する様子を蛍光のパターンから観測することが出来た.現在,これらの光化学反応の様相を蛍光顕微鏡を用いて観測する準備,青色光を照射し光化学反応に伴うC末端の構造変化を有効に引き起こす方法について,多角的に検討を行っている.同時進行でマイクロコイルとそれに電流を流して十分な磁場を発生させるシステム,これらの磁場の変化に対する蛍光強度の変化を高感度において観測するシステムの構築を行った.現在設計はほぼ完了しており,3Dプリンタによるサンプルホルダーや空気を避ける閉鎖系での実験の準備等を進めている. さらに,研究に向けてJSPS博士研究員であるLewis Antill博士が,蛍光顕微鏡に関するトレーニングを受け,何回かのテスト実験によりその方法を熟知するに至った,同時に今後のスピンラベルを用いた実験に向けて,電子スピン共鳴(ESR)装置についての知識を深めた.さらに合成したクリプトクロムの構造を有効に測定するための,ESRによる距離測定や核磁気共鳴による測定法等についても,数人のエキスパート研究者との研究連絡により知見を得,それらの測定に向けて,合成法との連携をとる事が出来つつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,半年の研究機関であったが,多様な蛍光タグをつけたクリプトクロム類を発現させて,精製する準備を行った.HeLA細胞に,プラスミドを導入して,蛍光タグをつけたクリプトクロムの発現実験を行った.発言した細胞は直接蛍光顕微鏡を用いてそのセル中に発現したクリプトクロムを見ることが出来た.これにより実験の準備はおおむね進展している.一方でスピンラベルに関する実験の準備はやや遅れているが,蛍光タグをつけたクリプトクロム合成が軌道に乗れば,さほど困難ではないと考えられる. 同時進行で行う,蛍光顕微鏡システムの構築やセルホルダ等の設計はおおむね良好に進んでおり,3Dプリンタなどを用いての試作機が既に作られつつある.さらに磁場発生コイルの試作は既に行われており,理論通りの磁場を発生させることが出来,発熱量等も予想通りである. 以上のことから考えて,ほぼ順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度を,本研究の中心的な期間と位置づけ,蛍光測定においては,1)クリプトクロムの合成,多種の蛍光タグをつけたクリプトクロムの発現.2)それらの多量体形成についての,観測およびそれらの定量的な評価,3)多量体形成をモニターとした磁場効果の観測条件の検討,4)磁場効果の観測,までを行い公表可能なデータを得る事とする.一方で並行して1)スピンラベルを付けることの検討,2)光化学反応によるC末端の構造変化を観測する方法の確立,3)C末端の構造変化を踏まえた構造変化前と後のサンプルを,凍結する方法論の確立,4)それらをパルス電子スピン共鳴を用いて距離測定を行う.現在共通機器であるパルス電子スピン共鳴装置が故障して,これらの測定を行う事が,今現在困難ではあるが,分子科学研究所や他大学と協力してこれらの測定を行う事を予定している.そもそも,本研究機関の装置では予備実験を行う事しか予定されておらず,この故障は研究にはさほど影響しない.一方で過渡吸収による測定系の構築は極めて順調に進んでおり,他の研究に用いる目的で青色のパルスレーザも導入された.これにより比較的高濃度のクリプトクロムを生成することが出来れば,より高安定かつ高感度の過渡吸収測定及び,その磁場効果観測も可能で,目的である多量体形成との相関も研究することが可能となる為,研究がより太く推進できる事が期待される.
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Research Products
(8 results)