2018 Fiscal Year Annual Research Report
高温高湿環境下での暑熱順化と脱順化が汗腺機能と皮膚血管拡張に及ぼす影響
Project/Area Number |
18F18793
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEI TZE-HUAN 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2020-03-31
|
Keywords | 暑熱順化 / 高温高湿度 / 季節順化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温下における運動時の熱放散システムは体温の過度上昇を避けるばかりか,アスリートや労働者などの身体パフォーマンスにも関係する.運動時の熱放散反応(発汗や皮膚血管拡張反応)は暑熱順化によって改善され,この改善により高温下での持久的運動や労働時のパフォーマンスが向上する.暑熱順化の研究では順化時の環境として湿度に着目した研究は少なく,高温低湿と高温高湿環境での暑熱順化が熱放散反応改善にどのような違いを生じるのか不明である.また,日本の夏は高温高湿環境であり,夏の熱放散反応の適応をみることで,高湿度に暑熱順化が熱放散反応に及ぼす影響を検討することが可能となる.そこで,本研究では暑熱順化時の湿度に着目し,高湿条件が熱放散システムの適応に及ぼす影響を明らかにすることとする.
運動時の有効・無効発汗量の評価方法の検討から運動中の測定においては間欠的な運動を行い,運動中に安静時を保持することで,これらの発汗量が正確に測定できるようになった.暑熱順化方法として高温高湿(32℃,60-70%RH)で9日間の運動による暑熱順化を実施する予定で準備を進めた.暑熱順化中の運動は最大酸素摂取量40-60%を実施し,体温をある一定のレベルに上昇させ,それを維持する方法を用いることとした.運動時間は1回60-90分である.暑熱順化の効果等を検討するため,暑熱順化前後に運動負荷と下肢温浴を実施した.暑熱順化実験を一人の被験者に実施した.暑熱順化で発汗機能は向上したが,全身でみた無効発汗量が増加し,この増加は有効発汗量の増加を引き起こすほどではなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発汗機能向上を評価するための有効発汗量と無効発汗量の評価方法に課題が生じた.そのため,この課題解決に時間を要した.課題解決として間欠運動を用いることで正確に両発汗量が測定でき,これにより有効・無効発汗量の評価方法を確立した.
前述の課題解決に時間を要したため,暑熱順化の実験の実施が遅れ,この年度までに十分な被験者数を確保できなかった.また,全体の研究期間から当初予定していた暑熱順化実験の2~3条件の中で,高温高湿環境を優先する必要が出てきた.
|
Strategy for Future Research Activity |
暑熱順化方法の再検討により,暑熱順化実験を実施し,その効果を熱放散機能の総合的な評価で検討する必要がある.高温高湿環境の暑熱順化に焦点をあて,順化実験を実施することで研究期間内に成果が得られるようにする.
|