2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞活動のモニタリングを指向した有機トランジスタ型バイオ分析手法の開発
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18F18800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南 豪 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (70731834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DIDIER PIERRE 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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Keywords | 有機薄膜トランジスタ / マイクロ流路 / 分子認識化学 / グルコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,有機薄膜トランジスタ(OTFT)とマイクロ流路を組み合わせて肝細胞内のグルコース代謝をモニタリングするシステムの確立である。本年度(半年間)は, OTFTデバイスのゲート電極を一部延長させた電極(延長ゲート)の上にマイクロ流路を構築した。延長ゲートには, 生理的条件下におけるグルコースに対する分子認識能を期待してフルオロフェニルボロン酸を選択した。フルオロフェニルボロン酸は, フッ素の電子求引効果によりホウ素のルイス酸性を高め, グルコースとの安定的な結合に寄与すると期待される。また, フルオロフェニルボロン酸同士の分子間相互作用(フッ素間の相互作用及びアミド結合間の水素結合)は, 延長ゲート上の分子認識部位を高密度化し, これによりグルコースへの選択的応答が可能になると考えられる。作製したOTFTは, 初期特性の損失を起こすことなく繰り返し作動した。OTFTによるグルコース検出を検討した結果, OTFTはリン酸緩衝生理食塩水に溶解させたグルコースに対して有意な応答を示した一方, 類似構造を有する糖化合物には低い応答を示した。これらの結果は, 生体内に存在する様々な糖化合物の中からグルコースを選択的に検出可能であることを示している。延長ゲートをマイクロ流路と組み合わせてグルコースの検出を検討した結果, マイクロ流路内を通過するグルコースに対しても有意な応答を得ることに成功した。以上より, 延長ゲートの上にマイクロ流路を構築することでグルコースの検出が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
延長ゲート上に分子認識能を有する化合物を固定化することで, 生理条件下におけるグルコースの検出に成功した。また, OTFTとマイクロ流路と組み合わせたモニタリングシステムにおいてもグルコースの検出が可能であることが示された。これらの結果は, 当初予定していた研究実施計画通りであることから, おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, OTFTとマイクロ流路を組み合わせたモニタリングシステムによる肝細胞内のグルコース検出を目指し, 計測条件(流量,径,デバイス安定性など)の最適化を行う。さらに, デバイスとしての応用に不可欠である小型化についても検討を行っていく。
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