2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物の構造色を生み出すナノ周期構造の解明とその創生技術の確立
Project/Area Number |
18GS0205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 順次 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90111666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30301170)
黒木 重樹 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (30293046)
川内 進 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (80204676)
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Keywords | コレステリック液晶 / 光学活性 / らせん構造 / 液晶逐次相転移 / カラーフィルム / リオトロピック液晶 / ポリエステル / ナノ構造 |
Research Abstract |
昆虫の翅の色がらせん周期構造による選択反射光であることを示すとともに、らせん構造が広く、生体系の組織構造部位に認められることを調査、明らかにした。 α-ヘリックス形態を持つポリペプチドをモデルたんぱく質として、そのリオトロピック液晶(m-クレゾール溶媒)の相図を全濃度域に渡って作製し、濃度の増大とともに、等方相-コレステリック液晶-カラムナー液晶の逐次転移を起こして、固体相へと推移することを明らかにした。また、適度な濃度で、ゲル化するようなゲル化剤(具体的にはDMF溶媒)を導入することで、コレステリック液晶のらせん構造を固定化することができ、美しいカラーフィルムの創生を行うことができた。これらの結果は、生体組織体を形成する基本高分子、タンパク質、キチン質、セルロースの溶液中での構造遷移のあり方を示したものであり、上述したように生物の固体組織に広くらせん構造が見られるという事実を実験的に傍証するものとなった。 また、すでにリオトロピック、サーモトロピック液晶を形成する高分子素材として開発済みのポリペプチド、セルロース、キチン質の天然由来の高分子、またポリシラン、ポリエステル等を用い、そのモノドメイン・コレステリック液晶のらせん構造の完全固定化を行い、さまざまな光学特性(らせんセンス、らせん周期、屈折率、複屈折率)を持ったカラーフィルムの創成も行ってきた。 もう一つの光学活性な液晶であるキラルスメクチック液晶の分子設計を行い、そのらせん構造が、コレステリック液晶とは異なり、分子軸方位に形成されること、また光の選択反射特性が特異的であることを示すとともに、生体系においてもこの種のらせん構造が創生されている可能性があることを示したのも有意義な結果である。
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