2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物の構造色を生み出すナノ周期構造の解明とその創生技術の確立
Project/Area Number |
18GS0205
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 順次 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (90111666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30301170)
川内 進 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (80204676)
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Keywords | ナノ構造 / 生物 / ナノプロセッシング / 液晶 / 構造色 |
Research Abstract |
液晶高分子内部のナノ周期構造が、フィルムあるいはファイバーの表面構造に反映するという興味深い結果を得た。その一つは、主鎖型液晶高分子のキラルスメクチックC(Sc^*)液晶フィルムに顕著に見られ、液晶のらせんを反映して高分子がらせん状に凝集した結果、ホモジニアス配向フィルムの最表面に由と谷の周期構造が現れる。その周期は液晶のらせんピッチ(P)に相応し、山と谷の高低差はP tanθ/π(なおθは層に対する分子のチルト角)で与えられ、らせんピッチの約20%程度の高低差が認められた(AFM測定)。この系のさらなる興味は、キラルSc^*相が強誘電相であるため、山と谷に逆向きの自発分極が存在し、表面電位が周期的に分布したフィルムとなっていることである(KFM測定)。荷電金属粒子をこのフィルム上に配位させ、無電解メッキを行うことでワイアグリッドタイプの偏光板の開発研究を進めている。その他、棒状ポリシランのスメクチック液晶相の層構造を利用して、ホトレジスト等で得ているような板状周期構造を数ナノから数100ナノの間隔でつくり出したり、バナナ型液晶のフラストレイト相で、強誘電層からの散逸現象として、規則性の高い表面アンジュレーション構造が生成することを認めてきている。また芳香族高分子のネマチック液晶から得た繊維やフィルム試料では、ずり変形による応力緩和により表面に周期的な凸凹構造が出現し、その周期は残留応力と相関することなどを見出してきている。 その他、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)がトルエンなどの有機溶媒に膨潤後、その両親媒的な性質を利用して、取り込んだ有機溶媒を数百から数千ナノのサイズで球状ドメインに層分離させるという新規な現象を示すことを見出すとともに、その球状ドメイン内の有機溶媒の屈折率とHPCマトリックスの屈折率に整合が取れる場合、美しいクリスチャンセン散乱効果を示し、さまざまな色に呈色することがわかった。また、液晶性ブロック共重合体と低分子液晶の混合系での相分離では、ハニカムネットワーク構造を持った特異な相分離が起こり、成長後凍結するという現象を見出し、液晶のマイクロカプセル(インセル)化に有効であること、またその特異な相分離挙動が相分離界面の自由エネルギーと液晶の弾性エネルギーのバランスによる決まるものであることを明らかにした。さらに、微粒子結晶の創生技術を確立し、孔雀の羽の人工的創生に成功してきている。
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