2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的相スイッチ機構を内在する有機電子材料の開拓と非平衡物性科学への展開
Project/Area Number |
18GS0208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 耕一郎 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (90212034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢持 秀起 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (20182660)
腰原 伸也 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 教授 (10192056)
御崎 洋二 愛媛大学, 工学部, 教授 (90202340)
永井 正也 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (30343239)
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Keywords | 非平衡物性科学 / テラヘルツ / 有機電子材料 / 時間分解分光 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
高効率光誘起スイッチ現象を示す物質においては、局所的微少刺激による電子状態の変化が電子格子相互作用を通じて巨大な格子変形をもたらしている。このような変形モードはいわゆるテラヘルツ領域に存在することが強く示唆されている。本年度は、このような動的スイッチ過程を捉えるために、テラヘルツ領域から赤外、可視、X線にいたる広範囲な振動数の光をもちいた時間領域分光系の整備とダイナミクスの研究、および新奇な有機材料開拓に取り組んだ。1.可視域や赤外域での光照射により、バンド構造やスピン状態が変化する動的スイッチ機構のダイナミクスの解明に役立つ時間分解テラヘルツ分光装置の構築をおこなった。半導体の光照射に伴うテラヘルツ領域の吸収変化を観測し、バンド絶縁体からプラズマが支配的な金属絶縁体への転移を観測した。また、テラヘルツ顕微分光装置の構築を開始した。2,スピンクロスオーバー錯体[Fe(ptz)6](BF4)2錯体において温度相転移のヒステリシスループ近傍で光誘起スイッチおよび中間状態を経た2段階の緩和過程を発見した。また、Fe(pyrazine)[Pt(CN)4]においては、20K以下で光誘起励起スピン状態生成(LIESST)を観測し、その緩和過程が初期状態に強く依存することを見出した。3.フェムト秒レーザーと軌道放射光組み合わせ技術の開発を行った。そして、時間分解能70psで、3-20keVの波長域のX線を、繰り返し周波数1kHzのフェムト秒パルスレーザーと同期させながら発生させ、かつ其のパルスX線を用いた精密構造解析を可能とする装置の稼働を達成した。完成した装置を用いて、超高速・高効率光誘起絶縁体-金属相転移や光誘起中性-イオン性相転移を起こすことで知られている各種電荷移動錯体を用いての予備的測定に着手した。新規材料開拓としては、4.分子末端に硫黄原子を持つTP-EDOTを合成しその錯体開拓に成功した。本錯体は2量体を形成し、2量体あたりひとつの局在スピンを有するモット絶縁体であることが判った。さらに、TP-EDTTの錯体検討を開始した。さらに、5.低温部で電荷秩序状態をとることが知られている(TTP)2Cu(NCS)2の単結晶育成条件の最適化,並びにθ型塩を与えやすい一連のTTP系分子の合成を行い,基礎的な構造・物性解析を行った。また、新規な有機導体,(BSM-TTP)2PF6の開発に成功した。一方,新規な含セレンTTP類縁体として,テトラセレナフルバレンとTTFが融合したジセレナジチアペンタレン(DSDTP)誘導体の合成に成功した。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Wavelength selective light-induced magnetic effects in the binuclear spin crossover compound [Fe(bt)(NCS)2]2](bpym)2007
Author(s)
N.Ould Moussa, E.Trzop, S.Mouri, S.Zein, G.Molnar, A.B.Gaspar, E.Collet, M.Buron-Le Cointe, J.A.Real, S.Borshch, K.Tanaka, H.Cailleau, A.Bousseksou
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Journal Title
Phys.Rev.B 75
Pages: 54101
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[Journal Article] Phenalenyl・based highly conductive molecular systems with hydrogen・bonded networks : synthesis, physical properties, and crystal structures of 1,3・ and 1,6・diazaphenalenes, and their protonated salts and charge-transfer complexes with TCNQ2006
Author(s)
T.Murata, Y.Morita, K.Fukui, K.Tamaki, H.Yamochi, G.Saito
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Journal Title
Bulletin of the Chemical Society of Japan 79
Pages: 894-913
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[Book] Gigantic and ultrafast photoresponse in molecular charge ordering system in Multifunctional Conducting Molecular Materials2007
Author(s)
M.Chollet, S.Koshihara, L.Guerin, T.Ishikawa, K.Matsuda, T.Hasegawa, H.Yamochi, G.Saito, R.Tazaki, S.Adachi
Total Pages
173-180
Publisher
RSC Publishing, Cambridge, UK
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