2006 Fiscal Year Annual Research Report
シークエンス高分子ー学際融合による新高分子科学の創成
Project/Area Number |
18GS0209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤本 光男 京都大学, 工学研究科, 教授 (90150325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 誠 京都大学, 工学研究科, 助手 (90394874)
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Keywords | 高分子合成 / 連鎖制御 / 重合触媒 / 精密重合 / 機能性高分子 / 鋳型 / シークエンス / 配位子 |
Research Abstract |
本申請者らは、金属ラジカル精密重合では触媒の中心金属、配位子などの設計により重合が制御されることを見出してきた。平成18年度はシークエンス制御重合の基盤となる精密重合系の開発を、以下の重合触媒設計、開始剤設計を通じて取り組んだ。 (1)高活性触媒: ルテニウム、鉄、ニッケルを中心に持っ触媒に対し、配位子の電子的・立体的因子を設計することで、触媒の高活性化、高選択性化を図った。特に、従来に比べて活性が5倍程度向上したルテニウム錯体や、機能性モノマーに耐性のある鉄錯体・ニッケル錯体を見出し、シークエンス制御重合の基盤となる高活性触媒を開発した。 (2)マルチタレント触媒: 重合触媒として用いたルテニウム錯体を重合中に水素化触媒へ変換し、生長末端のハロゲンを水素へ定量的に変換することに成功した。シークエンス制御に基づく自己完結型高分子の設計には、多段階精密重合が必要不可欠と考えられるが、生長末端を定量的に不活性化する本技術は、それを行う上で有用になると考えられる。 (3)高分子担持触媒: 平成19年度から計画している鋳型組込型触媒の開発に先立ち、高分子配位子を導入した触媒の性能を見極めた。高分子配位子を用いても、精密重合は達成可能であり、特に水溶性ユニットや共触媒と類似した構造ユニットを配位子に導入することで、触媒機能を高めることができた。 (4)異種重合開始点を有するヘテロ開始剤: 精密カチオン重合、精密ラジカル重合の両開始点を一分子内に設計し、連続精密重合によるブロックポリマー合成に成功した。ここで開始剤はセグメント間の結合部になるため、その構造や両開始点の数、方向によりブロックポリマーの形態を制御できる。本技術は目指している自己完結型高分子の設計基盤技術となることが期待される。
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Research Products
(2 results)