2006 Fiscal Year Annual Research Report
器官サイズ制御の分子基盤ー補償作用の分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
18GS0313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚谷 裕一 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (90260512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 吾朗 東京大学, 大学院理学系研究科, 特任助教授 (70342847)
山口 貴大 東京大学, 自然科学研究機構・基礎生物学研究所, 助手 (60450201)
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Keywords | 器官サイズ / 分子遺伝学 / 発生・分化 / 葉 / 補償作用 |
Research Abstract |
今年度は、当初計画通り、(1)補償作用を抑圧する遺伝経路の解明と(2)補償作用を誘起する過程の解明を目指して解析を行なった。まず(1)については、葉の細胞のサイズと数とを指標にした大規模スクリーニング(Horiguchi et al.2006a, 2006b)を経て、細胞サイズが特異的に小さくなる変異体群・xsを単離し、それぞれの変異を補償作用を典型的に示すan3変異体に導入した。その結果、補償作用を抑圧する遺伝経路として特定の都遺伝子に制御される細胞伸長制御系が浮き彫りとなった(Fujikura et al. 2007)。この解析の結果、興味深いことに、葉の細胞伸長制御系は、補償作用に関係する経路とそうでない経路との少なくとも2経路があることが明らかになった。しかも補償作用に関係する軽路も、ある特定の段階より下流のみが、補償作用で昂進するということが示された。現在、それぞれの超遺伝子座の精密マッピングを行なっている。 一方(2)については、補償作用を誘起する経路の特性を解明するために、新たに補償作用を示す変異体を複数単離し、その細胞サイズと細胞分裂のパターンを経時的に解析した。その結果、補償作用は細胞分裂が終結した後に初めて誘起されるものと、細胞分裂中から誘起されるものの二つがあること、また細胞伸長の昂進の型として、伸長速度が上昇するものと、伸長;期間が長くなるものの二つがあることが明らかとなった(Ferjani et al., in press)。またこれらの型の異なる補償作用を示す変異体を用い、野生株との比較においてマイクロアレイ解析を行なった結果、多数の興味深い遺伝経路が陽性として検出された。現在、これを解析中である。また、上記の新規変異体の大規模スクリーニングで得られた変異体のうち、葉の細胞数に特異的な欠損を示すoli変異体を用いた解析から、補償作用を誘起するための条件として、単純に葉の細胞数だけで決まっているわけではなく、いくつかの鍵となる条件を満たす必要があることも判明した。 さらにこの間、倍数性や核内倍加現象との連関を示唆する結果を得て、解析を進めている。
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