2006 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルにおけるインスリンシグナル伝達ネットワークとその統合
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18GS0317
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
春日 雅人 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50161047)
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Keywords | インスリンシグナル / 糖尿病 / インスリン抵抗性 / MCP-1 / PDK1 |
Research Abstract |
本研究では個々の臓器におけるインスリンシグナルが持つ生理機能とそれを統合する臓器間ネットワークの様相を明らかとすることを目的としている。今年度は肝臓特異的PDK1欠損マウスの代謝障害の表現型を解析し、本マウスが高インスリン血症と食後高血糖に特徴付けられる2型糖尿病様の代謝異常を示すこと、及び本マウスの高インスリン血症と食後高血糖が肝臓へのグルコキナーゼの再発現によりほぼ正常化することを見出した。これはグルコキナーゼの発現維持作用が、食後の糖処理において肝臓の重要なインスリン作用であることを明らかにしたものである。 また、ケモカインの一つであるMCP-1を脂肪細胞特異的に過剰発現させたマウスがインスリン抵抗性を示すこと、逆にMCP-1欠損マウスでは肥満を誘導しても特に肝臓においてインスリン抵抗性が生じにくいことを見出した。これはMCP-1が脂肪組織と肝臓のインスリン作用との間の臓器間ネットワーク制御に関与する因子であることを明らかにした知見である。 さらに細胞周期制御因子の一つであるSkp2を欠損したマウスが肥満やインスリン作用の障害に対して抵抗性を示すことを見出し、Skp2を介した細胞増殖の制御が他臓器におけるインスリン作用に影響を及ぼすことも明らかとした。 また本研究では高脂肪食飼育による肥満マウスの代謝変化の網羅的解析を通じて、臓器間のインスリンシグナル伝達ネットワークの破綻の様相を明らかとすることも目的としている。本年度は異なった高脂肪食で飼育した複数のモデルマウスを作製し、高脂肪食の種類、観察期間、評価パラメーター等の基礎検討を行った。
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Research Products
(3 results)