2008 Fiscal Year Annual Research Report
個体レベルにおけるインスリンシグナル伝達ネットワークとその統合
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18GS0317
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
春日 雅人 Research Institute, International Medical Center of Japan, 国立国際医療センター研究所, 所長 (50161047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 渉 神戸大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40294219)
木戸 義明 神戸大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (10335440)
野口 哲也 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10372640)
田守 義和 神戸大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90379397)
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Keywords | FSP27 / インスリン抵抗性 / 肥満 / 糖尿病 / TSC2 / 膵β細胞 / インスリン分泌 |
Research Abstract |
インスリン作用に関わる種々の遺伝子の機能とその肥満やインスリン感受性における生理的意義について検討した。インスリン作用は生体の脂肪組織の多寡によって大きく影響を受けることが知られている。脂肪細胞は細胞質内に単房性の脂肪滴を形成することによって脂肪を蓄積するが、その分子機構は十分に明らかではなかった。成熟脂肪組織の機能維持に必要な遺伝子を同定するため脂肪細胞に優位抑制型PPARγを過剰発現させたとこころ、FSP27の遺伝子発現が著しく抑制することが明らかとなった。FSP27は脂肪細胞の分化に伴って発現が増強し、その蛋白は脂肪滴周囲に局在した。FSP27の生理的機能を明らかとするため、FSP27遺伝子欠損マウスを作成したところ脂肪細胞内の脂肪滴は多房性となり、本マウスは高脂肪食飼育による食事誘導性肥満に抵抗性を示すことが明らかとなった。また白色脂肪組織のミトコンドリアは増多が見られ、熱産生が亢進するとともに、良好なインスリン感受性と耐糖能を示した。FSP27は脂肪細胞における脂肪の効率的な蓄積を促進することにより、個体レベルでのインスリン感受性の制御に重要な機能を果たすことが明らかとなった。 また、転写因子KLF15は肥満に伴って脂肪組織で発現が低下する遺伝子である。脂肪細胞特異的にKLF15を過剰発現する遺伝子改変マウスを作成したところ、本マウスは高脂肪食飼育による食事誘導性肥満に抵抗性を示し、良好な耐糖能とインスリン感受性の増強を認めた。またKLF15は脂肪酸合成系酵素であるSCD1やアドレノメデュリンの遺伝子発現を抑制し、このような遺伝子発現の変化を通じて脂肪組織の代謝を制御すると考えられた。 その他、Cited2ならびにTsc2の組織特異的欠損マウスを作製し、その表現型について解析した。
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Research Products
(14 results)