2018 Fiscal Year Annual Research Report
AR教材を使ったメタモデリング学習の効果-月の見え方の学習を通して-
Project/Area Number |
18H00078
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Research Institution | 上越市立春日中学校 |
Principal Investigator |
小松 祐貴 上越市立春日中学校, 教員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | メタモデリング / AR教材 / アバタ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究の目的 モデルを用いて科学的概念を獲得すること(モデリング)は, 理科において重要な学習活動である。このとき, 現象とモデルをつなげることが必要である。例えば、月の満ち欠けを学習する際には, 太陽・地球・月を北極上空から見る平面図を使用するが, この図と立体モデルをつなげることに困難が生じている場合がある。この課題に対して, 現象とモデルをつなぐAR教材を開発してきた。AR教材は, 平面図上に立体モデルを重畳表示するものであり, 操作を伴うことで体感を通した理解を促進したり, 現実世界の情報量を増やすことで理解を促進したりする効果がある(小松ら, 科学教育研究, 37(4), pp.307-316, 2013)。 モデリングを効果的に行うためには, モデルに対するメタ的な認識(メタモデリング)を併用することが重要だと指摘されている(Schwarz & White, 2005)が, これまでの実践では、学習者がモデルをどのように理解しているのか, また, 現象とモデルをどのようにつなげているのかについて詳細な調査は行っていない。このような背景を受け, 本研究の目的はAR教材を使ったメタモデリング学習の効果を測定することとする。 2. 研究の方法 従来のAR教材に分身が移動する機能(アバタ機能)を追加し, 視点移動のイメージを支援する。この新AR教材を使って生徒が月の見え方を理解していく過程を明らかにするため, メタモデリングと月の見え方についての理解度を調査した。 3. 研究の成果 従来のAR教材を使用し, 月の陰を左右逆に誤答した生徒, つまり, 視点移動のイメージを獲得できていなかったと考えられる生徒に対し, アバタ機能を追加した新AR教材を使用させた。すると, 理解に至った生徒が増え, また, アバタは理解を助けたと回答した。このことから, アバタ機能によってモデルの意味理解が促進され, 分身視点の獲得につながった。つまり, メタモデリングによってモデリングが効果的に行われたものと考えられる。
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