2018 Fiscal Year Annual Research Report
PBPKモデルを用いた生体肝移植患者におけるタクロリムスの薬物動態解析
Project/Area Number |
18H00394
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
糸原 光太郎 京都大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | タクロリムス / PBPK / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : カルシニューリン阻害薬であるタクロリムスは、肝移植後の急性拒絶反応予防をはじめとして、臨床現場において広く用いられている。タクロリムスのバイオアベイラビリティには大きな個体差が存在し、タクロリムスを経口投与した際に得られる血中濃度は、静脈内投与を行った際と比較して、患者間のばらつきが大きくなる。そこで本研究では、生理学的薬物速度論(Physiologically based Pharmacokinetic, PBPK)に基づくモデル構築とその有用性評価を行うことを目的とした。PBPKモデルはいわゆる”bottom up”によるモデル構築法であり、解析対象者や研究施設の特性によって影響を受けやすい母集団薬物動態解析と比較して、一般化可能性の高いモデル構築が行えることを利点とする。 研究方法 : 本研究では、PBPKモデルを用いて、CYP3A5の遺伝子多型及び肝臓の再生という生理学的な変化がタクロリムスの薬物動態に及ぼす影響を定量的に評価するとともに、タクロリムスの投与設計を援助する薬物動態モデル構築を目指した。具体的には、文献値または実測データとPBPKモデルのシミュレータであるSimcypを用いることにより、生体肝移植患者のポピュレーションデータおよびタクロリムスのPBPKモデル作成を行なった。また、作成したモデルを用いてドナーとレシピエントの多型ごと、肝移植後の日数ごとの適切なタクロリムスの投与量を推定した。 研究結果 : 本研究において、生体肝移植患者の肝機能を考慮したPBPKモデルを構築し、モデルから予測されるタクロリムス血中濃度は実測値とよく相関することを示した。また、本モデルを用いて、患者の特性や移植後日数に応じた最適な投与方法を提案することができた。
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Research Products
(2 results)