2018 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌でのソラフェニブ・レゴラフェニブ逐次治療の薬物動態に基づく投与法の確立
Project/Area Number |
18H00400
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
野田 哲史 滋賀医科大学, 薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | ソラフェニブ / レゴラフェニブ / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的抗がん薬ソラフェニブは、2009年に切除不能な進行肝細胞がんに承認されて以来、唯一の1次治療として使用できる薬剤であった。しかし、2017年6月に、本邦では、化学療法で治療抵抗性となった肝細胞がんに対して、レゴラフェニブが承認された。これら2剤は有効性を認めるものの、重篤な副作用のために、治療に難渋する事例が多いという臨床的問題がある。 本課題では、肝細胞がんでのソラフェニブ・レゴラフェニブ遂次療法のTDMに基づく最適な投与方法の確立を目指し、PK/PD解析を実施した。 現在、血中濃度の測定は順調に集積されている。内訳は、ソラフェニブ26名(281ポイント)、レゴラフェニブ1名(1ポイント)となっている。そこで、ソラフェニブ濃度と奏効率・副作用との関連性を解析した。 滋賀医大病院でソラフェニブが投与され、本研究参加の同意を得た肝細胞がん患者26名を対象として、ソラフェニブのトラフ濃度を測定した。投与開始3ヵ月の中央値の濃度と効果の関連性を、副作用発現時の濃度と副作用の重篤度の関連性を解析した。 患者背景は、男性22名、女性4名であった。平均年齢は73.3歳であった。ソラフェニブ濃度が4μg/mL以上の患者では、grade 2以上の下痢および疲労の発現頻度が高かった。また、ソラフェニブ濃度が4μg/mL以上の患者では、4μg/mL以下の患者と比較して、治療中止が多く、有意に予後が不良であった。本結果より、ソラフェニブの血中濃度モニタリングは、毒性の回避に有効である可能性が示唆され、特に4μg/mL以上では治療の継続は困難であり、予後にも影響を及ぼすことが示された。 現在、肝がんのレゴラフェニブにおいても、同様の解析を実施する予定であり、大腸がんのレゴラフェニブ(40名)とのがん種での薬物動態の差異も検討する予定にしている。
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[Journal Article] Exploratory investigation of target pazopanib concentration range for patients with renal cell carcinoma.2019
Author(s)
Satoshi Noda, Tetsuya Yoshida, Daiki Hira, Ryosuke Murai, Keiji Tomita, Teruhiko Tsuru, Susumu Kageyama, Akihiro Kawauchi, Yoshito Ikeda, Shin-ya Morita, Tomohiro Terada.
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Journal Title
Clin. Genitourin. Cancer
Volume: 17
Issue: 2
Pages: e306-e313
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 肝細胞癌におけるソラフェニブ血中濃度モニタリングの有用性2018
Author(s)
飯田洋也, 野田哲史, 大崎理英, 前平博充, 森 治樹, 北村直美, 藤本剛英, 平 大樹, 森田真也, 谷 眞至, 安藤 朗, 寺田智祐
Organizer
第56回日本癌治療学会学術集会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2018-10-19
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