2018 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部がん患者における可溶性EGFR濃度とセツキシマブの薬効・副作用との関係解析
Project/Area Number |
18H00414
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
柴田 海斗 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 血清中セツキシマブ濃度 / 血清中sEGFR濃度 / 皮膚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 抗EGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブは、大腸がんおよび頭頸部がんに対して頻用される。セツキシマブの副作用として皮膚障害がほとんどの患者で認められるが、その症状には個人差が存在する。セツキシマブは皮膚組織のEGFRを阻害することで皮膚障害を発現するため、そのEGFR活性は皮膚障害の重症度を反映する可能性がある。本研究では、頭頸部がん患者を対象に、血清中の可溶性EGFR(sEGFR)濃度およびセツキシマブ濃度と皮膚障害との関係性について調査を行った。 【研究方法】 対象患者は、浜松医科大学医学部附属病院においてセツキシマブの治療を受ける頭頸部がん患者とし、対象検体は投与4回目以降における投与直前の血清とした。LC-MS/MS法を用いて血清中セツキシマブ濃度を測定し、市販のELISAキットを用いて血清中sEGFR濃度を測定した。電子カルテ・患者聴取より皮膚障害の重症度(CTCAE ver. 4.0)、使用中の外用薬(保湿剤、ステロイド剤のランク)、経口ミノサイクリンの有無について情報収集を行った。得られた血清中sEGFR濃度およびセツキシマブ濃度と皮膚障害・皮膚治療薬との関係性について統計解析を行った。 【研究成果】 頭頸部がん患者において、血清中sEGFR濃度およびセツキシマブ濃度には大きな個人差が認められた。血清中sEGFR濃度と皮膚障害および皮膚治療薬の間には、関連性は認められなかった。一方、皮膚障害の重症度がGrade2以上の患者では、Grade0-1の患者に比べて、血清中セツキシマブ濃度が有意に高い値を示した。さらに、皮膚障害に対して強力な皮膚治療薬もしくは経口ミノサイクリンを使用している患者では、血清中セツキシマブ濃度の有意な上昇が見られた。以上の結果より、皮膚障害のバイオマーカーとして、血清中セツキシマブ濃度が利用できる可能性が示された。
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