2018 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞を利用した抗癌ウイルスのデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
18H00470
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
木村 美智 兵庫医科大学, 医学部, 実験補助
|
Project Period (FY) |
2018
|
Keywords | 増殖型レトロウイルスベクター / 間葉系幹細胞 / がんウイルス療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 増殖型レトロウイルスベクター(RRV : Retroviral Replicating Vector)を用いた癌ウイルス療法の効果を最適化するために、癌に集積する特性を持つ間葉系幹細胞をRRVの運搬体として利用することで癌に効率よくRRVを到達・分配させる新技術の有用性を悪性中皮腫モデルを用いて検討する。 【研究方法】 1. ヒト間葉系幹細胞(MSC)5種(脂肪由来、臍帯由来、骨髄由来3種)におけるRRVの感染効率、増殖効率およびRRV産生能の評価 2. 各MSCの悪性中皮腫細胞株への遊走能、RRV伝達効率の評価 3. 悪性中皮腫マウスモデルにけるMSCから腫瘍へのRRV伝達、腫瘍内RRV伝播の評価 【研究成果】 1. ヒトMSC 5種におけるRRVの感染効率、増殖効率およびRRV産生能は、いずれも中皮腫瘍細胞に比べ数百倍程度低かった。 2. 全てのMSCが腫瘍細胞への遊走性を示したが、その遊走能はMSCの由来により異なった。MSCから腫瘍細胞へのRRV伝達効率はMSCの由来により異なったが、共培養下ではTranswell系より高かった。 3. 悪性中皮腫の皮下腫瘍及び腹膜播種モデルにおいて、それぞれ静脈投与、腹腔内投与したMSCの腫瘍集積と腫瘍へのRRVの高効の良い伝達を認めた。 以上の結果から、MSCを運搬体としてRRVを腫瘍に効率よく到達・分配する新技術の原理証明がなされた。本研究の進展により、RRVを用いた自殺遺伝子療法の効果増強、更には転移性癌治療に応用可能なウイルス療法の開発に繋がることが期待される。
|
Research Products
(3 results)