2018 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌の呼吸性移動特性の定量化のための深層学習を用いた新しい四次元MRI構築法の開発
Project/Area Number |
18H00474
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤本 昂也 山口大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 膵臓 / 呼吸性移動 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の放射線治療は, 呼吸による腫瘍の動きをCTで評価しているが, 組織間のコントラストが十分でなく腫瘍の動きや変形を高精度に評価することは困難である. しかし, MRI-Linacの世界的な普及に伴い, MRIを使用して腫瘍と周囲のリスク臓器(胃, 十二指腸など)の移動の相関や腫瘍の変形をより高精度に定量化できると考えられる. MRIを使用した呼吸性移動の評価方法としては, 二次元のMRI動画(Cine-MRI)を連続的に収集し, 腫瘍の動きの代替指標として腹壁, 横隔膜の動きを基にして呼吸位相ごとに画像を並び替えて三次元画像を構築する方法(4DMRI)が報告されているが、代替指標と腫瘍の動きの間に生じる位置誤差から画質低下やアーチファクトを生じることが問題である. 今回我々は代替指標を使用せず, Cine-MRIで高信号に描出される膵臓内の血管の動きを基に画像の並び替えを行う四次元(4D)MRI構築法の開発に向けて、Cine-MRIを使用して膵臓の部位ごとの動きと腹壁、横隔膜の代替指標との動きの相関および両者の間に生じる誤差を評価することを目的とした。本研究では健常ボランティア10名の腹部を自由呼吸下にてCine-MRIで撮像し, 各スライスの動画像から, 膵臓血管の動きの波形と代替指標(腹壁、横隔膜)の動きの波形をテンプレートマッチングにて取得した。取得した波形から膵臓と代替指標の動きの相関および位置誤差を評価した。膵臓各部位と代替指標との相関は良好であったが, 膵臓の呼吸性移動の大きさは膵尾部で有意に大きくなった。また, 特に腹壁を代替指標とした場合に, 膵尾部において有意に代替指標との位置誤差が大きくなることが確認された。このことより、腹壁を膵臓の動きの代替指標として構築した4DMRIでは画質低下を生じること、また治療計画時に膵臓各部位の呼吸性移動を正確に評価できない可能性が示唆された。今後これらの結果を踏まえて4DMRIの画質向上に取り組み、膵臓と隣接するリスク臓器との動きの相関性や, 変形等をより高精度に評価することで、放射線治療の質の向上につながると考える。
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