2018 Fiscal Year Annual Research Report
凝固波形解析を用いた新規フィプリノゲン異常症検出法の有用性評価
Project/Area Number |
18H00476
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 敦夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | フィブリノゲン / 凝固波形解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液凝固因子の一つであるフィブリノゲンは、止血および創傷治癒に極めて重要な血漿蛋白である。研究代表者は、近年注目されている「凝固波形解析」を用いて、一般的なフィブリノゲン測定法である「トロンビン時間法」のみでフィブリノゲン異常を検出できる新たな検査法の開発を試みた(平成29年度奨励研究, 課題番号 : 17H00670)。その結果、フィブリノゲンの「質」を評価することができ、なおかつ追加コストが発生しない画期的な検査法(Fibg-CWA法)の樹立に成功した。本研究では、このFibg-CWA法のさらなる有用性を検索するため、まず播種性血管内凝固症候群(DIC)をはじめとする凝固線溶異常症の患者検体を用いて、Fibg-CWA法による解析を行い、フィブリノゲンの「質」の評価を行った。 検体は名古屋大学医学部生命倫理委員会承認(承認番号 : 2010-1038)のもと、検査後患者残血漿を使用した。まず、凝固線溶マーカーであるFDPおよびDダイマーとFibg-CWA法から得られるパラメータの相関を検証した。しかし、これらの分子マーカーとFibg-CWAから得られる「質」の間に明らかな関連性は認められず、DICは後天的異常フィブリノゲン血症のような質的異常をきたさないことが示唆された。また、FDPおよびDダイマーとFibg-CWA解析値(Minl, Min2, Max2)との関連性について、検証を行ったが、これらの間に優位な相関は認められなかった。次に、線溶異常検体について、ブラスミン-ブラスミンインヒビター複合体(PIC)をマーカーとして、Fibg-CWA法による解析を行い、その関連性を検証した。その結果、これらの検体においても質的異常を示す検体は認めなかった。 すなわち、凝固線溶異常を呈する後天的病態変化は、フィブリノゲンの質に影響を及ぼさないことが示唆された。
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