2018 Fiscal Year Annual Research Report
AM-RAMP系による代謝制御機構の解明と、加齢性疾患の性差医療への展開
Project/Area Number |
18H00481
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Research Institution | 株式会社日本生物製剤 |
Principal Investigator |
山内 啓弘 株式会社日本生物製剤, 研究員
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | RAMP / 性差 / 代謝異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
アドレノメデュリン(AM)は、多彩な生理活性を有するペプチド因子である。AMとそのファミリー因子の受容体であるCLRには、RAMPという1回膜貫通型タンパクが結合することで、多彩な生理活性が生み出されると考えられている。我々はこれまでAM-RAMP系の心血管系恒常性維持作用を明らかとしてきた。一方、AMとRAMPは共に、脂肪組織をはじめとした代謝系においても高発現が認められるが、その意義の多くは不明である。我々は脂肪細胞特異的RAMP2ノックアウトマウス(A-RAMP2-/-)を作成し、A-RAMP2-/-は、若年期から内臓脂肪型肥満を呈することから、AM-RAMP2系が、心血管系の制御のみならず、脂肪細胞の分化や代謝制御に直接係わることを明らかとした。本研究では、メスマウスに対して卵巣摘出した後、高脂肪食負荷を行うことで、閉経後代謝障害におけるAM-RAMP系の病態生理学的意義を検討した。┃ RAMP2ノックアウトマウス(RAMP2+/-)オスに対して高脂肪食負荷を行うと、野生型マウスに比較して、有意に体重の増加が認められた。一方、RAMP2+/-メスに対して卵巣摘出と高脂肪食負荷を行なった場合は、野生型マウスと比べて体重に大きな差を認めなかった。これに対し、RAMP3ノックアウトマウス(RAMP3-/-)メスに対して卵巣摘出と高脂肪食負荷を行なった場合は、野生型マウスと比べて体重増加、酸素消費量の低下、耐糖能異常、内臓脂肪肥満、および脂肪肝の増悪を認めた。 以上の結果から、AM-RAMP2系のみならず、AM-RAMP3系も代謝制御において重要な役割を有することが明らかとなった。一方で、閉経後代謝障害における病態生理学的意義には、RAMP2、3の両者に差異が存在する可能性が考えられた。特にエストロゲン-エストロゲン受容体系とAM-RAMP2, 3系のクロストークが予想されるが、詳細なメカニズムについては、今後の更なる検討が必要である。
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Research Products
(4 results)