2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00489
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
星 京香 福島県立医科大学, 医学部 生化学講座, 主任医療技師
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Project Period (FY) |
2018
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Keywords | 鼻性髄液漏 / 脳脊髄液 / ELISA |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 「鼻性髄液漏」は、鼻腔上部の極めて薄い骨板が損傷を受けることで、クモ膜下腔に存在する(脳脊)髄液が鼻腔内に漏出して起こる。頭部外傷や手術外傷により髄液漏が見逃されると30~40%の割合で遅発性髄膜炎を発症する。従来の診断法は、髄液中のグルコース濃度が高いことを利用したテステープによる鼻汁のグルコース測定である。しかし、テステープは鼻汁に対する髄液の混入率が20~30%以上でないと診断できない。我々は、髄液の混入率が1%程度でも髄液漏が診断可能である新規マーカーとしてProtein X(ProX)を見出した。本研究では、ProXを利用した鼻性髄液漏の新規診断方法の開発を目指す。 【方法】 髄液漏れが疑われる患者鼻汁を採取し、ウェスタンブロット法(WB法)でProXを定量する。WB法は操作が煩雑なため、より迅速で多数検体を測定可能なELISA法の構築を行う。構築したELISA法は性能試験(添加回収・同時再現・日差再現)で評価し、WB法の定量値と比較するため相関分析を行う。 【研究成果】 髄液漏れが疑われる18症例の鼻汁を検体として、WB法でProXを定量した。18症例中4症例で1ng-273ngのProXが検出された。次にProX-ELISA法を構築し、性能試験を行った。添加回収率は88%-109%、同時再現性試験のCVは9.4%、日差再現性試験のCVは8.4%と算出された。WB法とELISA法の定量値の相関係数はr=0.97(n=14)を示し、両方法において強い正の相関が見られた。定量下限値はWB法の時は0.5ng、ELISA法の時は0.05ngであった。ELISA法の高感度測定により、鼻汁中に含まれる微量なProXの定量が可能となり、鼻性髄液漏の検査においてELISA法は有効であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Rapid increase of ‘brain-type’ transferrin in cerebrospinal fluid after shunt surgery for idiopathic normal pressure hydrocephalus : a prognosis marker for cognitive recovery2018
Author(s)
Murakami Y*, Matsumoto Y*, Hoshi K*, Ito H, Fuwa T, Yamaguchi Y, Nakajima M, Miyajima M, Arai H, Nollet K, Kato N, Nishikata R, Kuroda N, Honda T, Sakuma J, Saito K and Hashimoto Y.
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Journal Title
J Biochem
Volume: 164
Issue: 3
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed