2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reexamination of the scientific realism debate from a historical perspeictive
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18H00604
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊勢田 哲治 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80324367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 勇喜謙 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教(特定有期雇用) (50793155)
野内 玲 信州大学, 医学部, 特任助教 (60757780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学哲学 / 科学的実在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「現代の科学的実在論論争の再検討」と「過去の科学哲学における実在をめぐる論争の掘り起こし」という2つの作業を並行して進めてきた。 前者については、科学の状況や社会情勢と比較する視点はこれまで意識されてこなかったので、先行研究の洗い直しを行った。この課題の進行のために、現在の科学的実在論論争の代表的論者のひとりであり、かつまた本科研費と共通する問題意識を持つリーズ大学のJuha Saatsi氏を日本に招き、科学哲学会での講演会、科学基礎論学会でのワークショップを開催した。そのほかにも工藤怜之氏、石田知子氏、森田紘平氏ら若手の研究者にも研究への協力を依頼し、共同での研究会等を開催した。こうした研究を通して、科学的実在論論争が科学全体についてのグローバルな論争から個別科学の内部での実在をめぐるローカルな論争へと移行しつつあることが浮き彫りとなった。 後者については、主に1940年代から1950年代の文献を検討した。とりわけ、1950年に出版されたファイグルの「存在仮説」論文は当時の実在論に関する論争状況が現在と全く異なったものであることを端的に示すものであることが明らかとなり、この周辺の洗い直しが今後の課題として浮かび上がった。具体的には、反実在論を代表するとされる道具主義と呼ばれる立場が1950年ごろには未だ成立していなかったことが判明し、この立場の成立史についてより立ち入った検討が今後の課題として浮かび上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初初年度に予定していた研究のうち、科学的実在論論争の現状についての検討は Juha Saatsi氏の協力が得られたことで予想以上に大きく進展した。他方、過去の論争の掘り起こしについては未だ期待していたほどの成果は挙げられていない。両者を総合的に見れば、全体としての進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進み具合にばらつきがあるので、研究分担者間で相談しながら全体としての研究の推進について見直しを行っていきたい。
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