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2019 Fiscal Year Annual Research Report

中東少数派の音文化に関する研究ー共有と非共有に着目してー

Research Project

Project/Area Number 18H00626
Research InstitutionUniversity of the Sacred Heart

Principal Investigator

飯野 りさ  聖心女子大学, 現代教養学部, 特別研究員 (80758756)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 谷 正人  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
米山 知子  京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (50511127)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords音文化 / 中東 / 少数派 / クルド / アレヴィー / シリア正教徒 / イラン / トルコ
Outline of Annual Research Achievements

本科研は、第一に三名の研究者の個別の研究、第二に年に一度の研究会、第三に海外から演奏家を招へいしてのレクチャー・コンサートの三つが研究活動の柱になっている。
まず、個別の調査研究では、アレヴィー音楽担当の米山は8月にオーストラリアのメルボルン近郊のアレヴィー・コミュニティーにて、セマーを教える立場の女性からライフ・ヒストリーの聞き取りなどを行うと同時に、同コミュニティー内での音楽受容に関して調査を行った。イランでの調査が担当の谷は、7月から8月にかけてテヘランにてクルド人音楽家の主宰する音楽教室で参与観察やインタビューを行い、即興演奏に関わる問題から彼らの音楽にあるクルド的な要素などまで、幅広い問題に関して調査・検討した。スウェーデンで在外研究中の飯野は、同地でシリア正教徒の聖歌だけでなく世俗歌謡のレパートリーの収集などを続けるとともに、8月から9月にかけてはイランとトルコで渡航調査を行い、クルド、シリア正教徒、アレヴィーなどの音楽家と面談し、現地の状況を知る機会を得た。
7月上旬には中東音文化研究会第2回研究会を聖心女子大学で開催し、グルジア音楽で学位を取得した久岡加枝氏のグルジア音楽に関する発表、並びに飯野の渡航調査に関する報告を行った。10月末から11月初旬にかけて、2019年度のレクチャー・コンサートとして『シリア正教徒の音楽:古い伝統、新しい伝統』を関西では関西学院大学にて、関東では東京大学にて行った。シリアやイラク出身のシリア正教徒の歌手や音楽家で現在はスウェーデンなどに居住する人々を招へいし、コンサートでは前半が教会の聖歌、後半が20世紀後半に興った世俗歌謡が演奏された。シリア正教徒といえば典礼聖歌で知られており、その一方で世俗歌謡に関してはあまり知られていないことから世界的にもあまり例のない大変貴重な機会であった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本科研は、中東の少数派の音楽に関して共有する特徴とそうでない特徴(すなわち非共有)に関して、トルコ、イラン、アラブの音楽を研究してきた研究者がこれまでの知見を生かして肉薄するプロジェクトである。四年の研究期間の二年目ということで、まだ、本格的な成果が出るには至っていないが、徐々に研究蓄積が集まりつつある。特にレクチャー・コンサートに関しては、第一年目(2018年度)は多数派であるアラブの音楽であったものの、その成果を経て二年目である2019年度は少数派の一つであるシリア正教徒の音楽をテーマとすることができ、来年度への布石となった。

Strategy for Future Research Activity

「現在までの進捗状況」で記したように、進捗状況はおおむね順調であるものの、懸念すべき点があることも事実である。近年、政治状況だけでなく自然災害等の影響も無視できなくなっており、中東ならびに世界情勢の不安定化が顕著になっている。特に2020年1月からは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、渡航調査の中止や延期が余儀なくされる事態にもなっている。今日、すでに広く知られているように、感染拡大阻止のために遠距離の移動が難しくなったり、さらには社会的距離を取る必要性から多くの人々が関わる音楽活動も難しくなるなどしており、研究活動への影響は甚大であることから今後、事態の推移を注意深く見守りたい。

Remarks

フェラース・シャレスターン(カーヌーン)、マリアム・アルシャーマーニー(歌)、ミーラード・バーヒー(ウード)、ジョルジュ・オーロー(打楽器)、飯野りさ(解説)、レクチャー・コンサート『シリア正教徒の音楽:古い伝統、新しい伝統』(2019年10月31日関西学院宗教活動委員会後援、11月3日東京大学中東地域研究センター共催)、主催:科研費基盤(B)「中東少数派の音文化に関する研究」。

  • Research Products

    (6 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 書評『Tala Jarjour著 Sense and Sadness: Syriac Chant in Aleppo (New York: Oxford University Press, 2018』2019

    • Author(s)
      飯野りさ
    • Journal Title

      音楽学

      Volume: 65(1) Pages: 56-57

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Religious Symbol or Cultural Performance?: A Case Study of Turkish Alevi's Semah in Melbourne2020

    • Author(s)
      Tomoko Yoneyama
    • Organizer
      18th International Conference on Arts and Humanities
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 民族的楽器のあり方:ユーラシアの有棹撥弦楽器を比較する2019

    • Author(s)
      米山知子、東田範子、柚木かおり(代表)
    • Organizer
      東洋音楽学会第70回研究大会
  • [Presentation] 研究報告「中東音文化における共有と非共有:この一年の調査で得た知見を中心に」2019

    • Author(s)
      飯野りさ
    • Organizer
      中東音文化研究会第2回研究会
  • [Presentation] “A Name of Mode: An Aleppine Case”2019

    • Author(s)
      Lisa Iino
    • Organizer
      Seminar at the Department of Linguistics and Philology, Uppsala University
  • [Book] 「第Ⅱ章第8節トルコ:セマーの宗教的意義と担い手たちの認識」『映像で学ぶ舞踊学』(遠藤保子監修、弓削田綾乃等編集)2020

    • Author(s)
      米山知子
    • Total Pages
      208(114-121)
    • Publisher
      大修館書店
    • ISBN
      978-4-469-26883-6

URL: 

Published: 2021-01-27  

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