2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Representation of Wrath and Evil: Conceptions of the World and Expressions of the Wicked and the Converted in Ancient Japan
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18H00630
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
BOGEL CYNTHEA 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (50637931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知足 美加子 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40284583)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 仏教美術史 / 邪悪表現 / 薬師寺 / 古代仏像 / 奈良時代 / 飛鳥時代 / 女帝 |
Outline of Annual Research Achievements |
7、8世紀の仏像の制作意図、大和王権と仏教視覚文化の展開、信仰の発展を理解するために調査と資料集めを行った。そして継続する研究テーマの薬師寺本尊台座に関する学術書の本の構成、概念のアウトラインと草案を完成させるため、台座一般に関する査読論文をフランス美術史雑誌に発表した(詳細は以下に述べる)。また下記の出張、独自の調査を基に執筆を続けた。 前近代日本の邪悪、鬼、死の表象とそれらへの対応を平安時代以前の仏教視覚文化と絡めたテーマでハーバード大学においてコロンビア大学とも共同で開催予定だったワークショップは、新型コロナウィルスの影響で延期を余儀なくされた。2021年にはハーバード大学、コロンビア大学、梨花女子大学所属の連携研究者の参画を得て開催されることを期待する。関連して2020年8月にはAssociation of Asian Studiesのオンラインの学会で「Demons and Gods on Display: The Pageantry of Popular Religion as Crossroads Encounters」にパネル討論者として参加した。 研究分担者の九州大学芸術工学研究院の知足美加子教授と予定していた調査出張は新型コロナウィルスのために実現せず、神像、忿怒仏、怒りの神についての打ち合わせを行った。 海外への渡航が不可能になったが2回の京都、奈良を主とする関西、近畿地方への出張で女帝支配下の古代史、異世界と世界像、邪悪表現の多様性、台座モチーフ、奈良時代の疫病鎮魂等についての調査を寺社、美、博物館等で行い、また現地の研究家、専門家、学芸員らから知識の提供を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響でワークショップの開催や学会への参加が不可能になったため当初の計画を変更せざるを得なかった一方日本においての研究に費やす時間を有効に使うことができた。薬師寺台座に関する研究の非常に前向きな結果は、当該テーマについての研究者の最初の論文の発表である。フランス査読美術史雑誌『PERSPECTIVE』の日本美術史特集の特別号に論文の投稿者として選ばれ、前述の薬師寺本尊台座の紹介を出版するという目的のために多大な努力をした。2020年2月に完成、出版された論文「Un cosmoscape sous le Bouddha : le piedestal de l'icone principale de Yakushi-ji, soutien de l'empire des souverains」の前半では雑誌の編集者の要請により古代仏教視覚文化背景を紹介し、今後の予定にある学術書でカバーされる研究者の基礎的な研究を夜叉、四神、中国の帝国制度と日本の中国的天皇制度の関係、仏教的なシンボルとは思えないモチーフ(唐草模様、四神)の薬師寺本尊台座などでの使用の4点を主要なテーマとして発表した。 九州で発生したと言われる奈良時代の疫病について、疾病、伝染病と7世紀の仏教美術の表象との関係を考慮して調査、研究をした。この研究に関連して8、9世紀の天台宗の儀式として始まり現在に至る太宰府の鬼すべ儀式の歴史を含む鬼払い、追儺についての研究も開始した。2020年と2021年は白鳳時代と奈良時代初期の研究が重要である。 フランス語の論文の発表によりさらなる研究と改良の必要性がより明確になった。同時に研究者の発想がフランス語で一般に提供されることとなった。現在当プロジェクトに非常に有意義な新しい冶金の研究が進んでいる。 国内の出張では学術書の資料となる調査結果や専門知識を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ワークショップは新型コロナウィルスの影響で様々な制限が見込まれるが、2021年度に規模を縮小して開催する。2019年12月に奈良国立博物館での薬師寺についてのシンポジウムに参加したが、白鵬年間・奈良時代の仏像と薬師寺の仏像、本尊台座の冶金について、伽藍、建築などについての様々な分野がテーマに含まれ、それを元に2021年の日本語の論文のための知識をさらに進展させる予定である。次年度には薬師寺本尊台座と白鵬の藤原京(694-710年)の「本薬師寺」(奈良県橿原市の東南に位置する藤原京の薬師寺と呼ばれた寺院)と奈良時代薬師寺の建立、本尊の意図、藤原京から遷都のコンテクストについて、4点に焦点を当てた日本語でのより長い論文を発表するつもりでいる。研究業績で述べたように4点の主要テーマは夜叉、四神、中国の帝国制度と日本の中国的天皇制度の関係、仏教的なシンボルとは思えないモチーフ(唐草模様、四神)の薬師寺本尊台座などでの使用である。また長岡龍作氏のような日本の仏像専門家や研究番号なしの連携研究者 ルーリー・デイヴィッド(コロンビア大学)、リピット・ユキオ(ハーバード大学)、沈雪曼(ニューヨーク大学 美術史研究院)教授らから専門知識の提供を受ける予定である。本薬師寺と薬師寺に関係している論文と重要な8世紀の資料を収集、読み解く予定である。来年度は人文学国際研究センター長として科研費のプロジェクトとは別に研究プロジェクトがあるが、上記に述べた分野での進展を治めるよう努力したい。
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Research Products
(3 results)